FLUXUS ART FOR ALL, ITALIAN EDITIONS OF THE LUIGI BONOTTO COLLECTION
「フルクサス」の運動においてイタリアの大きな役割について綿密に分析した一冊。本書は2022年11月から2023年4月までミラノの「20世紀博物館 (MUSEO DEL NOVECENTO)」で、「フルクサス」のコレクションを多数所有する「ボノット財団(Fondazione Bonotto)」との協力のもと開催された展覧会に伴い刊行された。
1950年代後半に現れ、勢いが盛んになった「フルクサス」。エディトリアル、オブジェ、グラフィックフォルダー、マルチプルとして制作されたアーティストブックから成る「エディション」制作、そしてそれらがこの前衛運動の拡がりにおいてイタリアで果たした重要な役割を掘り下げる。この作品群は、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)、ジョージ・ブレヒト(George Brecht)、アラン・カプロー(Allan Kaprow)、ナム・ジュン・パイク(Nam June Paik)、ディーター・ロス(Dieter Roth)ら運動の中心人物によって制作されたものである。安価で制作でき、手軽に配布することができるため、数々の作品がより幅広く大衆の手にも届き、それゆえに芸術を民主化し社会変革と結びつけるという「フルクサス」の目標に貢献した。伝統的な慣わしが失われつつあったこの時代のイタリアで生まれた文化的ないし芸術的な雰囲気に導かれ、「フルクサス」はじきに芸術的コラボレーションの指針となったのだ。
編集は、展覧会のキュレーションを担当した「ボノット財団」ディレクターのパトリジオ・ペテルリーニ(Patrziio Peterlini)、美術史家でありキュレーター、評論家のマルティナ・コルニャーティ(Martina Corgnati)が手がける。イタリア語、英語併記。
This book offers an in-depth analysis of the prominent role Italy came to play in the Fluxus movement, which emerged in the late 1950s. It explores the editorial experience of Fluxus, the creation of “editions” – objects, graphics, artists’ books – and the important role this had in the movement’s spread. Inexpensive to produce and easy to distribute, these works were accessible to the wider public and in turn contributed to the Fluxus goal of democratising art and identifying it with social change. Fed by the cultural and artistic atmosphere awakened in Italy in a period when traditional practices were being destabilised, Fluxus became a beacon for artistic collaboration.