LA PELLE by Luc Tuymans
ベルギー人アーティスト、リュック・タイマンス(Luc Tuymans)の作品集。本書は、作者の最も野心的な個展とその作品を記録した一冊である。
2019年3月から2020年1月にかけてヴェネツィアの「パラッツォ・グラッシ(Palazzo Grassi)」で開催された、作者にとってイタリアで初めての大規模回顧展に伴い刊行された。活動初期である1986年から、展覧会開催当時最新である2018年までの作品より80点に焦点を当てて展覧し、作品集に掲載。絵画作品だけでなく、展示会場の構成がわかる地図も収録する。
ヴェネツィアの「カナル・グランデ(大運河)」沿いに建つ、「パラッツォ・グラッシ」の優美な内装の中に収められた「ピノー・コレクション(The Pinault Collection)」は、過去にジグマー・ポルケ(Sigmar Polke)、ダミアン・ハースト(Damien Hirst)、ウルス・フィッシャー(Urs Fischer)の展覧会を開催し、その作品群を紹介した。それゆえに、「パラッツォ・グラッシ」は作者の作品の概観を見せるのにふさわしい場所であった。静かで、抑制され、時には不安を煽るその作品は、歴史にまつわる問いやその表現、見慣れぬ不気味な視点から見た日常的なテーマと向き合っている。既存のイメージをもとに描かれているが、多くの場合、ピントがわずかにずらされ、色はまばらで、まるで現実が三度抽象化を重ねたかのようにみえる。初期の作品は雑誌の写真や、ドローイング、テレビ映像、ポラロイド写真をベースとしていたが、最近のイメージのソースにはオンラインで入手した素材や、作者自身がiPhoneで撮影しそれを印刷し、時には何度も再撮影したものが含まれている。
長らく「ル・プラトー(Le Plateau)」のアーティスティック・ディレクターを務め、パリの「ピノー・コレクション(The Pinault Collection)」のキュレーターであるキャロライン・ブルジョワ(Caroline Bourgeois)が編集を担当。美術史家、美術理論家のパトリシア・ファルギエール(Patricia Falguières)、美術批評家でありインディペンデント・キュレーター、研究者のマルク・ドナデュー(Marc Donnadieu)と作家でありキュレーターのジャレット・アーニスト(Jarrett Earnest)がテキストを手がける。
Luc Tuymans: La Pelle documents the most ambitious monographic exhibition of the work of Luc Tuymans (born 1958). The Pinault Collection at Palazzo Grassi has in the past mounted exhibitions of the work of Sigmar Polke, Damien Hirst and Urs Fischer in its elegant interiors along the Grand Canal in Venice. It was thus the appropriate venue for this survey of Luc Tuymans' work. Quiet, restrained and at times unsettling, his works engage with questions of history and its representation and with everyday subject matter in an unfamiliar and eerie light. Painted from preexisting imagery, they often appear slightly out-of-focus and sparsely colored, like third-degree abstractions from reality. Whereas earlier works were based on magazine pictures, drawings, television footage and Polaroids, recent source images include material accessed online and the artist’s own iPhone photos, printed out and sometimes rephotographed several times.
Luc Tuymans interview | "La Pelle" by Palazzo Grassi - Punta della Dogana