ABSTRACT PAINTINGS AND DRAWINGS by Gerhard Richter
ドイツ人画家、ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)の作品集。2016年に開催された展覧会に伴い刊行された。作者は、2014年12月から2015年5月の間、30作の抽象画(アブストラクト・ペインティング)と40作のドローイングからなる1連のシリーズを制作した。この試みは、作者にとって新たな始まりであった。2014年夏に発表した「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所」からタイトルが付けられた作品『Birkenau』を描くまでの4年間、絵画を制作していなかったのである。「もう一度始めよう。ゲルハルト・リヒターによる新たな抽象絵画を。」エッセイの中で作者はこう述べている。スイス人キュレーター、アーティスト、コンサルタントのディーター・シュワルツ(Dieter Schwarz)は、作者の抽象絵画から考察できる歴史的、美的文脈の体系を辿り、ドイツ人美術史家のベンジャミン・H・D・ブクロー(Benjamin H.D. Buchloch)は、モダニズムの歴史におけるジャンルの位置付けという大きな文脈の中で作者のドローイングを整理する。
「Abstract painting」は、2005年から2009年までに制作された作品の中で主要な一表現である。そこには「Sindbad」とタイトルが付けられた作品による重要かつ新しい絵画サイクルや、中規模から大規模サイズで抽象表現を魅せる個々の絵画、白絵具による半透明のベールで覆った色彩の構造が下に描かれ、表層はほぼモノクロに近い仕上がりとなっている新たな絵画の作品群も含まれている。収録エッセイ「Voids and whites: The last paintings before the last」では、ベンジャミン・H・D・ブクローが歴史的かつ美的観点から作者の抽象画の枠組みを追い、更に戦後のアメリカとヨーロッパにおける還元主義的な絵画における大きな文脈の中で作者が描いた、白く非具象的な作品群を考察する。
EXHIBITION:
ゲルハルト・リヒター展
会期:2022年6月7日(火) - 10月2日(日)
休館日:月曜日 ※7月18日、9月19日は開館、7月19日(火)、9月20日(火)
時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)
開催場所:東京国立近代美術館
詳細
※本展は終了いたしました
会期:2022年10月15日(土) - 2023年1月29日(日)
休館日:月曜日 ※2023年1月9日は開館、2022年12月28日 - 2023年1月4日は休館
時間:10:00-17:30
開催場所:豊田市美術館
詳細
※本展は終了いたしました
Gerhard Richter created a group of thirty abstract paintings and a series of forty drawings between December 2014 and May 2015. It was a new beginning for him - he had not painted for four years until the Birkenau cycle in the summer of 2014. In his essay 'Starting again. New abstract pictures by Gerhard Richter,' Dieter Schwarz traces the historical and aesthetic reference system of Richter's abstract paintings, while Benjamin H.D. Buchloh arranges Richter's drawings within the larger context of the position of the genre in the history of modernism. 'Abstract paintings' is a major representation of works from 2005 to 2009, including an important new cycle of paintings entitled Sinbad, individual paintings presenting medium to large format abstractions, and a new group of near-monochrome paintings, whose underlying chromatic structures are covered by translucent veils of white paint. In his essay 'Voids and whites: The last paintings before the last', Buchloh traces the historical and aesthtic framework of Righter's abstract paintings and considers the artist's recent white, non-representational works within the larger context of a postwar trajectory of reductivist painting in the US and Europe.