MEL BOCHNER PHOTOGRAPHS, 1966-1969 by Mel Bochner
1960年代から70年代にかけてニューヨークで発展したポストミニマル・アートとコンセプチュアル・アートの中心人物であるアメリカ人アーティスト、メル・ボックナー(Mel Bochner)の作品集。作者といえば絵画、彫刻、ドローイングが有名だが、1960年代半ばから後半にかけては写真に打ち込んでいた。本書は、1966年から1969年の間に撮影された、ほぼ未発表の多彩な写真作品を初めて批評的に解説した重要な1冊。収録された75点の作品の多くはカラーで、出版されるのは本書が初めて。作者の写真のもとになったドローイングも多数見ることができる。
キュレーターのスコット・ロスコフ(Scott Rothkopf)は、作者の芸術が発展する過程で写真が果たした重要な役割と、ミニマル・アートやコンセプチュアル・アートと写真との関係における主な課題を探求した。ミニマリズムとの格闘から始まり、コンセプチュアル・アートのニュアンスを含んだ精緻な表現へと向かうはっきりとした軌跡がその写真には表れているとロスコフは主張する。ロスコフは、ロバート・スミッソン(Robert Smithson)、ソル・ルウィット(Sol LeWitt)、ブルース・ナウマン(Bruce Nauman)など、同時期に写真を撮っていた他のアーティストの作品とボックナーの作品を比較することでこの変化を検証した。作者やその他のアーティストたちがミニマルな彫刻の限界への答えとして写真を利用したことがコンセプチュアル・アートの誕生に繋がったとロスコフは考えている。
加えて、作者が1966年に制作した実験映像とその後の写真プロジェクトとの関連性について書かれた、キュレーターのエリザベス・サスマン(Elisabeth Sussman)によるエッセイも収録。
Mel Bochner (b. 1940) is considered a pioneer of the Post-Minimal and Conceptual art movements. Perhaps best known for his paintings, sculptures, and drawings, Bochner became deeply involved with photography in the mid- to late 1960s, although most of these works have only recently been exhibited. This significant book provides the first critical look at a virtually unknown body of Bochner’s extremely varied photographs dating from 1966–1969. Some 75 of his photographs are presented, many in color and most published for the first time. Also included are a number of Bochner’s drawings that directly informed his photographic works.