SINGER NOTES, 1968 by Mel Bochner
1960年代から70年代にかけてニューヨークで発展したポストミニマル・アートとコンセプチュアル・アートの中心人物であるアメリカ人アーティスト、メル・ボックナー(Mel Bochner)の作品集。2017年にブリュッセルの出版社「MFC-MICHÈLE DIDIER」が運営するパリのギャラリーで開催された展覧会に伴い刊行された。本書は、2つのセクションに分けて構成されている。
第一部では、作者が1968年9月から12月にかけて制作した『Singer Notes』を正確に複写したものが収録されている。これは、ベル研究所のエンジニア、ビリー・クルーヴァー(Billy Klüver)とアメリカ人アーティストのロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)らによって結成された「芸術と技術の実験(E.A.T.)」が主催するシンガー研究所のレジデンシーに参加した作者が期間中に制作したものであり、現地の科学者やエンジニアと交わした会話から生まれたメモやドローイング作品で構成されている。
第二部では、2013年に作者と本展のキュレーションを担当したセバスチャン・プルオ(Sébastien Pluot)が『Singer Notes』の各ページを見ながら交わした会話が記録されている。
本作は作者の重要な作品でありながら、不思議なことにほとんど知られていない。1960年代後半以降の作者の作品に多大な影響を与えることになるアイデアの萌芽が凝縮されているにもかかわらず、この作品は一般に知られていないのである。
The first section of Singer Notes, 1968 comprises an exact copy of the Singer Notes, the whole of the drawings and the notes realized by Mel Bochner between September and December 1968.
The second section of Singer Notes, 1968 comprises the conversation between Mel Bochner and Sébastien Pluot looking through each page of the notes.
Singer Notes is an important work by American artist Mel Bochner yet strangely it remains little-known. While encapsulating the germination of ideas which later proved to be fundamental in Bochner's extremely influential work since the late 1960s, the Singer Notes have been generally unknown.