APERTURE 247 - SUMMER 2022: SLEEPWALKING
1952年に「写真の進化のための相互理解を深める場」として設立された非営利機関「Aperture」によって創刊された、ニューヨークを拠点とする写真雑誌『Aperture Magazine』の第247号。本号は、写真国際的写真家集団「マグナム・フォト」正会員を務めるアメリカ人フォトグラファー、アレック・ソス(Alec Soth)がゲスト編集を務める。写真における夢、旅、そして偶然性の要素、そしてその可能性について探究している。
「Sleepwalking(夢遊病)」と題した本号は、アレック・ソスとアメリカ人小説家のシリ・ハストヴェット(Siri Hustvedt)との対談を収録し、最新作「A POUND OF PICTURES」 で表面化する言及に繋がり、眠りというものが持つ民主的な可能性ついて語る。
また、旧ソビエト時代に活動したチェコ人フォトグラファーのエミラ・メドヴァ(Emila Medová)の作品、フランス人アーティストのソフィ・カル(Sophie Calle)が発見したパリにある廃墟ホテル、アレック・ソスによるアメリカを旅した際に撮影した写真など、驚くべきイメージとストーリーの数々を紹介する。
「他の多くの写真家たちと同じように、私も初めて撮影したのは墓地でした。しかし、私の写真が洗練されていくにつれて、いつしか墓地は線路、廃墟、夕日と並んで、禁じられたクリシェ(使い回されて本来の意味合いを失った常套句、陳腐な表現)のリストに加わってしまったのです。ピッツバーグに住む写真家の友人、エド・パナー(Ed Panar)とメリッサ・カタネーゼ(Melissa Catanese)にこの話をしてみると、エドは今でも定期的に墓地を撮影していると教えてくれました。メリッサによると、『エドはひねくれ者じゃないから、何かがクリシェで、つまらないものだなんて考えは浮かばないのよ』とのことでした。『皮肉屋の遺伝子は持ち合わせていないみたい』とも。エドは、私が知るなかで最も幸せな写真家です。そんなエドを少しでも見習いたいと思って、彼に墓地へ一緒に行ってくれるよう頼んでみました。日没が迫った頃、彼は自宅近くの断崖絶壁にある墓地に連れて行ってくれました。何枚も写真を撮っている場所がここだと指を差して教えてくれました。初めは、私がその同じ場所で撮影することが想像できませんでした。あまりに壮大だったからです。でも、カメラを構えて、ピントグラスを覗いてみると、エドがなぜあんなに幸せそうなのかがわかったんです。」―アレック・ソス
他にも、アメリカ人ライターのジェシー・ドリス(Jesse Dorris)がアメリカ人フォトグラファーのデュアン・マイケルズ(Duane Michals)に対して行った幸運と運命についてのインタビュー、イギリス人歴史家であり作家、美術評論家のマリナ・ワーナー(Marina Warner)による、芸術において夢遊病者の姿が持つ永続的な奥深さに関する考察を掲載。また、ベルギー人アーティストのエティエンヌ・クルトワ(Etienne Courtois)、スウェーデン人フォトグラファーのマーハ・ダニエルズ(Maja Daniels)、アメリカ人アーティストのエリオット・ジェローム・ブラウン・ジュニア(Elliott Jerome Brown Jr.)等が、シュールで想像性に富んだ新しい作品シリーズを発表している。
本号からの新しい試みとして、フォトブックへの関心をより活性化するための新セクション「The PhotoBook Review」を設けている。アメリカ人フォトグラファーのノナ・ファスティン(Nona Faustine)、ナイジェリア人フォトグラファーのサミュエル・フォッソ(Samuel Fosso)、スペイン人フォトグラファーのオスカー・モンゾン(Óscar Monzón)などが最近刊行されたフォトブックへのレビューを寄稿している。
EXHIBITION:
アレック・ソス新刊『ADVICE FOR YOUNG ARTISTS』刊行記念 フェア&サイン会 at 代官山 蔦屋書店
[サイン会]
日程:2024年10月7日(月)
時間:19:30 - 21:00
場所:代官山 蔦屋書店 2号館 1階 アートフロア
[フェア]
日程:2024年10月1日(火) - 10月17日(木)
時間:店舗営業時間に準ずる
場所:代官山 蔦屋書店 2号館 1階 アートフロア
詳細
『アレック・ソス 部屋についての部屋』関連イベント
at 東京都写真美術館
[サイン会]
日程:2024年10月12日(土)
時間:16:30- 18:00
場所:東京都写真美術館 2階 ミュージアムショップ NADiff BAITEN
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[トーク]
アレック・ソス アーティストトーク
日程:2024年10月12日(土)
時間:14:00 - 16:00
場所:東京都写真美術館 1階ホール
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Guest edited by the acclaimed photographer Alec Soth, Aperture’s summer issue explores the dimensions and possibilities of dreams, journeys, and chance in photography.
“Sleepwalking” covers a surprising array of images and stories from the Soviet-era Czech artist Emila Medová to Sophie Calle’s discovery of an abandoned Parisian hotel to Soth’s own photographs from his travels in the United States. In this issue, Jesse Dorris interviews Duane Michals about luck and fate, Marina Warner explores the enduring resonance of the figure of the sleepwalker, and artists including Etienne Courtois, Maja Daniels, and Elliott Jerome Brown Jr. present surreal and imaginative new series. The Summer 2022 issue also introduces The PhotoBook Review, a new section for lively engagement with photobooks, featuring reviews of recent titles by Nona Faustine, Samuel Fosso, Óscar Monzón, and others.