RUBBER PENCIL DEVIL (WHITE, 2021) by Alex Da Corte
アメリカ人アーティスト、アレックス・ダ・コルテ(Alex Da Corte)の作品集。本書は、2018年に制作された57部作の映像作品「Rubber Pencil Devil」をカタログ化しフリップブックの形で発表する現在も制作中のシリーズ第2作目である。(第3作目はこちら)
「Rubber Pencil Devil」は、昔のテレビの映像や20世紀のアニメーション、クィアの象徴や奇抜なアメリカ文化、風俗といった様々な象徴的、文化的な資料からインスピレーションを得た、高度に様式化された2時間40分の映像がループする作品である。人気のよく知られたキャラクターがゆっくりとした身振りで演じる映像は、催眠術のようですらある。これらの登場人物は、日常的なオブジェクトや家庭を象徴するシンボル、そして馴染みある規則で構成された飽和状態の世界に没入している。作者自身も映像内のパフォーマーの一人として演じており、様々な食べ物を模した人形やピンクパンサー、シルベスター・キャット、フレッド・ロジャース、悪魔といったアイコン的なキャラクターに扮している。作者によれば、「Rubber Pencil Devil」は「総合芸術作品(Gesamtkunstwerk)」であり、映像、音楽、建築の要素を組み合わせ、観るものに没入型の体験を与える。前衛的なアーティスト、ポップ歌手、芸能人やマンガキャラクターへの示唆に富んだ作品である。
作者は、消費文化や美術史への深い知識を元にこれらを操り再利用することで、破壊的なユーモアと内省的な精神を持って、人間の欲望や疎外感をテーマとして探究している。知的かつ挑発的な、そして色彩豊かで不条理なファンタジーの世界は、現代における現実を批判的に捉えるだけではなく、規範的とされる権力システムの再構築、そして新しいアイデアと新しい始まりを創造することを試みている。
本書には、2019年7月1日にアメリカの「ホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)」で行われた、作者と同美術館キュレーターを務めるデイビッド・ブレスリン(David Breslin)による、「Interactions of Color」と題した対談が収録されている。
EXHIBITION:
Alex Da Corte Fresh Hell アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄
会期:2023年4月29日(土)- 9月18日(月)
休館日:月曜日、5月14日(日)、7月18日(火)※7月17日、9月18日を除く
時間: 10:00-18:00
開催場所:金沢21世紀美術館 展示室7〜12、14
詳細
I know there is a rainbow for me to follow - Mariah Carey, 1999
Produced by American Art Catalogues, Alex Da Corte's new flipbook Rubber Pencil Devil is the second in an ongoing series of flipbooks cataloguing Da Corte's fifty-seven part film, Rubber Pencil Devil (2018).
The flipbook features a conversation titled Interactions of Colour, between Director of Curatorial Initiatives at the Whitney Museum of American Art David Breslin and Alex Da Corte, held at the Whitney Museum on July 1st, 2019.