THE OLDEST THING by Ruth van Beek

オランダ人アーティスト、ルース・ファン・ビーク(Ruth van Beek)の作品集。常に成長し続けるそのアーカイブから生まれ出た作品群の中で、作者は写真における既成の視覚的な記号を頻繁に使用する。たいていは古書から拾われたイメージが、作者の道具、現資料、そしてコンテクストとなっている。作者はそれらを折り、切り、色を塗った紙片を加えることで物理的に介在し、イメージの内に潜む世界観をさらけ出せるまで、再配列と加工を続けてゆく。本書では、数々のコラージュや記録としてのイメージ、絵画と共に作者の母親の料理も加わって、見開きがおよそ250点ほどの魅惑的なショーを形作っている。作者の古くからの友人である作家のバッシェ・ブール(Basje Boer)による7点の詩もまた、ひそかなエッセンスを加えている。

本書では、ありふれたものたちがそれぞれに姿(身体)を持ち、命を宿す。日常的な体験に深く根付いた手法を以て、作者はそのアーカイブの広大さの内へと目を向ける。そうすることで、スタジオと家庭的生活の間に横たわる希薄な境界線、毎日の仕事の繰り返し、マニュアルや家庭の本に対する好奇心の源泉を探求し、母親による影響まで遡っているのである。

作者の手にかかると、つまらないものたちのイメージが「動くモノ」となる。奇妙で曖昧な形を見つけ出し、ずたずたにしたところに焦点を合わせるという解体のプロセスを経たものたちである。提示されたイメージ群からは楕円形の視覚的なリズムが生まれ、毎日くり返される仕事を称賛しながらも、そのさらに向こうに存在する不思議な世界をも浮き彫りにしている。

In her work, which originates in her ever-growing archive, Ruth van Beek often uses the established visual codes of photography. The images, mainly from old books, become her tools, source material, and context. Van Beek physically intervenes in the pictures – folding, cutting, or adding pieces of painted paper – rearranging and manipulating the image long enough to reveal the universe that lies within. ‘The Oldest Thing’ features numerous collages, archival images, and paintings in a dazzling show of roughly 250 double spreads in which her mother’s cooking also plays a role. Seven poems by Van Beek’s long-time friend Basje Boer add nuance to the material.

by Ruth van Beek

REGULAR PRICE ¥12,100  (tax incl.)

hardcover
512 pages
120 x 160 mm
color
2023

shortlist of the Paris Photo–Aperture Foundation PhotoBook Awards 2023 - the PhotoBook of the Year Prize

published by VAN ZOETENDAAL PUBLISHERS