20世紀のアメリカを代表するアーティスト、ジョージア・オキーフ（Georgia O'Keeffe）の作品集。2023年4月から8月にかけて「ニューヨーク近代美術館（Museum of Modern Art）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

作者は1916年に制作した木炭画を後にこう振り返る。「このドローイングをすでに何度も描いた。しかし以前に描いたものを思い出すこともなく、何から着想を得ているかもわからない。」

作者のドローイング作品の大部分は木炭、水彩、パステル、鉛筆で描かれ、観察と抽象の間にあるモチーフに発展と変化をもたらす。アーティストとしての人物像を形成した1915年から1918年にかけて、その後の40年間で制作した数と同等の数の作品を紙に描き出した。水彩の抽象的な線、有機的な風景やヌードの連作、抽象的な木炭画のシリーズである「スペシャルズ（specials）」を制作した。作者の実践は、後にキャンバスを使用したペインティングが中心になるものの、1930年代に花を描いた木炭画や、1940年代のポートレイト、1950年代の空中から風景を描いた作品など、紙を使用した重要なシリーズは再び姿を現すこととなる。ペインターとしてより広く知られる作者であるが、本書ではドローイングを豊富に取り上げ、個々の作品の文脈を繋げ直し、一連の絶え間ない実践とその一貫性に光を当てている。

作者はウィスコンシン州のサン・プレイリーで生まれた作者は、1916年にニューヨークのギャラリーにて木炭画が展示されたことで初めて注目を集めた。2年後には、創作活動に集中するため、ニューヨークに移住。さらに、1929年から2度の夏を過ごしたニューメキシコ州へと1949年に拠点を移した。活躍した時代の最もよく知られている女性アーティストでありながら、作者は自身を「最も優れた女性ペインター」ではなく「最も優れたペインターのうちの1人」と捉えていた。

Recalling a charcoal she made in 1916, Georgia O'Keeffe later wrote, “I have made this drawing several times—never remembering that I had made it before—and not knowing where the idea came from.” These drawings, and the majority of O’Keeffe’s works in charcoal, watercolor, pastel and graphite, belong to series in which she develops and transforms motifs that lie between observation and abstraction. In the formative years of 1915 to 1918, she made as many works on paper as she would in the next 40 years, producing sequences in watercolor of abstract lines, organic landscapes and nudes, along with charcoal drawings she would group according to the designation “specials.” While her practice turned increasingly toward canvas in subsequent decades, important series on paper reappeared—including charcoal flowers of the 1930s, portraits of the 1940s and aerial views of the 1950s.
Published in conjunction with an exhibition at the Museum of Modern Art, New York, this richly illustrated volume highlights the drawings of an artist better known as a painter, and reunites individual sheets with their contextual series to illuminate O’Keeffe’s persistently sequential practice.