MONOGRAM 5: IN MEMORY OF... by John Yuyi
ベルギー発の月刊誌『MONOGRAM』の第5号。写真出版の新しいアイデアのプラットフォームとして、2022年に出版社「ART PAPER EDITIONS」を主宰するベルギー人デザイナー、ユルゲン・マエルフェイ(Jurgen Maelfeyt)と「MONOGRAM BOOKS」のアシュリー・ヘルヴィー(Ashley Helvey)によって立ち上げられた。
本号『IN MEMORY OF...』では、台湾出身のアーティスト、ジャン・ヨウイ(John Yuyi)が、鼻の手術をきっかけに撮影を敢行して記録したものを収録する。
台湾で育った作者は、いじめにあったこと、西洋的な美しさの概念に晒されたことが重なり、ニューヨークを拠点に活動するアーティストである作者に、当然のことながら一抹の不安を残した。未曾有のパンデミックの中、ほとんどの人がロックダウンにより隔離状態にあり、少なくとも人前では顔がマスクの下に隠れていたが、台湾に帰国した作者は、そのタイミングで鼻の手術を受けることを決めた。
耳の骨を鼻に移すことで医学的には手術は成功したが、作者はすぐに後悔した。2週間後、元に戻すために再び予約をし、すぐに鼻は元に戻された。短い時間、鼻先として存在した耳の骨の経験を記念し、作者はその「鼻先」を再手術の前日に遊園地へ連れて行くことに決めた。自撮りで撮影をし、そして最終的に、作者の言葉を借りれば「私の人生におけるこの滑稽さ」を不朽のものとするための本、その名も『In memory of my ear bone that once was in my nose for two weeks(かつて私の鼻の中に2週間あった耳の骨を記念して)』を刊行した。
In memory of my ear bone that was once in my nose for two weeks. The day before it went back to my ear, I decided to take my nose on a date to an amusement park, just the two of us.