FLOWERS (2019) by Alex Katz
アメリカ人アーティスト、アレックス・カッツ(Alex Katz)の作品集。2020年1月から11月にかけてニューヨークのギャラリー「リチャード・グレイ・ギャラリー(Richard Gray Gallery)」で開催された展覧会に伴い刊行された。アヤメ(アイリス)を描いた大判の油彩画と、ボードを用いて描かれたより親しみを感じさせるサイズ感の習作シリーズを習得した本書は、作者のひたむきな自然への関心をより詳細に見ることができる。
メイン州にある自身のアトリエで制作されたアヤメの絵画シリーズは、1949年に「スコウヒーガン絵画彫刻学校(the Skowhegan School of Painting & Sculpture)」で戸外制作(en plein air)というものに始めて出会ったことを想起させる。また、スタジオでの習作は作者の制作において最も重要なプロセスである。一瞬のインスピレーションを捉えるための勤しみとして下書きをする際、実物を見て描く。主題の本質を表現すべく習作を研ぎ澄ませたのち、その構図を大きなキャンバスへと移す。アメリカ人詩人、批評家のジョン・ヤウ(John Yau)は、この方法に対し「カッツの手法は知覚の初期衝動に忠実であることだ。(...)彼の主題は、見るということの現在系であり、落ち着いた時に回想されるものではない。」と語る。
本書には展覧会で見せた13点の作品それぞれが引きや寄りを用いて掲載されいるほか、アメリカ人詩人ジェームズ・スカイラー(James Schuyler)による詩『あいさつ(Salute)』を収録。
About Exhibition:
Gray is pleased to announce the release of a special publication produced on the occasion of the recent exhibition, Alex Katz: Flowers. Showcasing Katz’s large-scale Iris paintings alongside a series of intimate studies on board, the catalogue provides a closer look at the artist’s dedicated interest in painting the natural environment. Created at his studio in Maine, Katz’s Iris paintings recall his first encounter with working en plein air in 1949 at the Skowhegan School of Painting & Sculpture. The publication offers detailed illustrations for each of the 13 works in the exhibition, and includes the poem “Salute” by James Schuyler.