FIRST WORK SET by Franz Erhard Walther
ドイツ出身のアーティスト、フランツ・エアハルド・ヴァルター(Franz Erhard Walther)の作品集。本書は、1963年にデュッセルドルフで始まり1969年にニューヨークで完成した、複数のパーツから成る野心的な彫刻作品「1. Werksatz(First Work Set)」の軌跡を辿るものである。「ディア・ビーコン(Dia:Beacon)」で開催された「Work as Action」にて本シリーズが展開されたことをきっかけに刊行された。
作者が「過程のための道具(instruments for process)」と呼ぶ58枚の独立した布で構成されたこの作品は、折り畳む、落とす、測る、傾けるといった一連の日常的な動作をもって、鑑賞者によって活きてくる。何十年もの間、この作品は折り畳まれた状態でアーカイブ化された布としてガラス張りの展示室に置かれており、本来意図された直接的かつパフォーマンス的な出会いを鑑賞者は得ることができなかった。「ディア・ビーコン」での企画に伴い、同館は作者と共に、来場者が直接手に取りパフォーマンスすることができる布を選んだ。会期中、会場では第一線で活躍する研究者らを招いて討論会を開催、作品を直接体験する機会だけでなく、作品に関する新しい考え方を紹介した。
本書では専門家陣の寄稿文とともに、作者が手がけた未発表テキスト、1970年に展覧された「Spaces」に関する日記を初めて英訳し、収録している。
This publication retraces the acclaimed German artist Franz Erhard Walther’s (born 1939) multipart sculpture First Work Set, begun in 1963 and completed in 1969. The piece’s 58 individual fabric elements are activated by visitors in a series of quotidian actions such as folding, dropping and measuring.