BIRDS OF THE WEST INDIES by Taryn Simon
アメリカ人ヴィジュアルアーティスト、タリン・サイモン(Taryn Simon)の作品集。作者は、イギリス人作家であるイアン・フレミング(Ian Fleming)の『ジェームズ・ボンド(James Bond / 007)』シリーズを綿密かつ広範にわたって分析し、シリーズに登場する女性、武器、乗り物の目録を作成した。
そもそも、「ジェームズ・ボンド」は、鳥類学者の名であった。個人的な趣味として野鳥に親しんでいたフレミングはこの名を見つけ、「ジェームズ・ボンド」が完璧に「普通」であり、「簡潔」であり、「アングロサクソン」的であり、「男性的」であると考え、小説の主人公の名前に用いた。この名を採用することは、ボンド物語の構成の核となる一連の「置き換え」において、最も初めの「置き換え」なのである。
本作品集の目録の各カテゴリーで紹介される内容は、魅惑的で、力強くて、無敵の西洋人男性という物語における神話に不可欠なアクセサリーとして機能している。作者は、ファンタジーの生産において使われている、可変的かつ代替可能なヴィジュアル・データベースを提示しており、その繰り返しによって生み出される経済的で感情的な価値を考察している。
タイトル『BIRDS OF THE WEST INDIES(西インド諸国の鳥)』は、鳥類学者ジェームズ・ボンド(James Bond)の著作(1936年)より引用している。
本書は、作者が「カーネギー・インターナショナル(2013 Carnegie International)」アーティストに選ばれ、アメリカ・ピッツバーグの「カーネギー美術館(Carnegie Museum of Art)」で2013年10月から2014年3月まで開催された展覧会に伴い刊行された。
In 1936, an ornithologist called James Bond released the definitive taxonomy of birds found in the Caribbean, titled "Birds of the West Indies". Ian Fleming, an active bird watcher living in Jamaica, subsequently appropriated the name for his novel’s lead character. He found it to be perfectly “ordinary”, “brief”, “Anglo-Saxon” and “masculine”. This co-opting of names was the first replacement in a series of substitutions that would become central to the construction of the Bond narrative. In a meticulous and comprehensive dissection of the Bond films, artist Taryn Simon (*1975 in New York) inventoried women, weapons and vehicles in Bond. The contents of these categories function as essential accessories to the narrative’s myth of the seductive, powerful, and invincible western male.
In "Birds of the West Indies", Simon presents a visual database of interchangeable variables used in the production of fantasy, through which she examines the economic and emotional value generated by their repetition.