LEE FRIEDLANDER 1960s-2000s by Lee Friedlander

アメリカ人フォトグラファー、リー・フリードランダー(Lee Friedlander)の作品集。2008年にラットホールギャラリーで開催された展覧会「桜狩–Cherry Blossom Time in Japan–」に伴い刊行された。

以下プレスリリースより抜粋

RAT HOLE GALLERYでは、昨年の集大成展に続き、アメリカを代表する写真家リー・フリードランダーによる第2回展、来日を重ね日本で制作された「桜」のシリーズ『桜狩』を4月11日より開催いたします。

リー・フリードランダーは1934年、アメリカ・ワシントン州アバディーンに生まれ、少年時代から独学で写真を取り始めています。ロサンゼルス・アート・センターで学んだ後、ニューヨークに移住。60年、 62年にはグッゲンハイム奨学金を授与されて全米をめぐり、<変わりゆくアメリカの光景>を撮影、ウォーカー・エヴァンスに認められた初期の作品「リトル・ルーム」はこの時代に制作されています。写真が報道の役割から撤退しつつあった60年代後半に、個の視線によって社会を見つめる一群の写真家たちがアメリカの写真表現の上に登場しはじめますが、そうした現代写真の変革を示唆する二つの重要な展覧が開催され、フリードランダーもそうした展覧を通してその地位を確立していきます。66年ジョージ・イーストマン・ハウスで開催された『社会的風景に向かって』展では、<コンポラ写真>の旗手として紹介され、国内外の写真家たちに大きな影響をあたえ、続く67年ニューヨーク近代美術館で開催された『ニュー・ドキュメンツ』展では、ジョン・シャーカウスキーの選出によりゲリー・ウィノグランド、ダイアン・アーバスの3人展として紹介されています。フリードランダーの、洗練されたユーモアを交える、抑制された明解な視覚。アメリカの変遷を見つめるその視点は、都市の社会的風景を主題に、身近な人達の記録的な肖像、木々や植物のランドスケープに大別されていますが、近年、その視点に柔らかな眼差しがほのかに見える、との指摘も、聞こえてきているようです。

1977年、はじめて日本を訪れたフリードランダーは、折から桜の季節に出合い、開花を追って列島をめぐる日本人の心情にふれることとなりました。来日を前に源氏物語、谷崎潤一郎などの古典、近代文学に目を通していたフリードランダーが、「花を愛でる」など、独特の日本的な美意識にすでにふれていたことは十分に考えられますが、現代のごく一般の生活者たちが花を追う光景を目の当たりにした驚きには、想像を越えるものがあったようです。当時、満開の桜の景色を見た印象を、後にフリードランダーは「この世のものとは思えない、まばゆいほどの天上の光の下で, 繊細な枝や幹がからみあい、それはまた、淫らですらあった」と語っていますが、彼もまた、花追い人として、79年、81年、84年にも日本を訪れ、東京、奈良、京都をはじめ、四国、広島方面にまで足をのばして撮影を重ねています。 日本で制作されたこの桜のシリーズは、87年にセゾン美術館で開催された集大成展『LEE FRIEDLANDER』に特別のブースが設けられ、「桜狩」のタイトルの下に50点の作品が展示されています。本展はフリードランダー自身の手によって、一昨年の夏に、友人であり写真編集者の山岸章二氏に捧げる形でフランケル・ギャラリーより刊行された写真集『桜狩 — Cherry Blossom Time in Japan』の出版を機に、作家自身の強い希望によって実現されることになりました。 フリードランダーが愛してやまない日本の桜花は、日本的な情緒から切り離されて、他の木々や植物と混じり合うようにして生育する、野の存在として捉えられているかのようにも思えます。桜が、木々であり植物であるという自明の上に立って、身を覆うように花を咲かせるいとおしさを訪ねる、久しぶりの桜狩りを、指折り数えているというフリードランダーからの便りも届いたところです。

by Lee Friedlander

REGULAR PRICE ¥7,150  (tax incl.)

hardcover
56 pages
212 x 242 mm
black and white
limited edition of 700 copies
2008

published by RAT HOLE GALLERY