DAY STILL NIGHT AGAIN by Anri Sala
アルバニア人アーティスト、アンリ・サラ(Anri Sala)の作品集。2021年7月から10月にオーストリアの「Kunsthaus Bregenz(ブレゲンツ美術館)」で開催された展覧会に伴い刊行された。作者の作品群において音楽的な現象は重要な役割を果たしている。その変革力あるタイムベースト・メディアの美術作品は、音、イメージ、建築の緊密なネットワークの関係性により生み出されている。この展示で繰り返し使用される媒体はフィルムである。従来の映画に対して、作者は厳密な物語や俳優を起用せず、むしろ音楽が作品の主役になるよう作り上げている。ここでは一般的にシネマティックなものから音楽的なものが生じるのではなく、逆に音楽的なものからシネマティックなものが生じ、これによって鑑賞者が視覚的かつ聴覚的な空間体験に没入できるようになっている。
本書はレコード盤の寸法に基づいた造本となっており、透明なカラーシートが差し込まれた仕様となっている。今回の大規模展の記録写真が掲載されているほか、ブレゲンツ美術館の館長を務めるオーストリア人キュレーター、トーマス・D・トラマー(Thomas D. Trummer)らが、音とイメージが主役の作者の作品について解説しているエッセイも収録する。
Musical phenomena play a major role in Anri Sala's work. His ransformative, time-based works develop from a dense network of relations between sound, image, and architecture. A recurring medium in the exhibition is film. In contrast to conventional cinema, Sala does not employ a strict narrative or even actors, it is rather musical pieces that become the real protagonists in the works. The cinematic results from the musical and not, as is customary, vice versa, enabling visitors to immerse themselves in a both visual and acoustic experience of the space.