SIGNAL THE FUTURE by Georg Gatsas

スイス人フォトグラファー、アーティストであるゲオルグ・ガッサス(Georg Gatsas)の作品集。本作は、イギリス・ロンドンにおける幾重にも折り重なったミュージックシーンの重要な一時代を紐解く一冊である。ポートレイト写真やクラバー達のスナップ写真、都市建築のイメージを通じ、音楽がどのように身近な都市環境を作りかつ都市環境によって形成されたのかを一つの物語が解き明かしていく。時は遡り2008年、イギリスのクラブカルチャーにおいてダブステップ(※註)が起こした一つの現象が世界的にも高く評価をされた。我々にとってはまるで、クラブカルチャーから出現したものではなく、とある名声の高まった輝かしいミュージックシーンを紹介してもらったかのようだった。本書に登場する人々は民族的に多様であり、大部分が労働者階級、更に驚くほど結束力が強く、国内で高い評価を得ているインディー音楽やギターロックの歴史からは程遠い場所にいる。彼らは、街や愛すべき音楽によって繋がっている。作中ではダンサーのステップや、各々の動きを通じてのコミュニケーションが垣間見え、南ロンドンの街ブリックストンの夜のストリートで生きる者たちの輪郭をどことなく感じ取ることができる。わずか数年の間に、エレクトロニック・ミュージックのトーンやイメージは変わっていった。屋外でもイベントが開催されるようになり、より眩く、現代的な思考を特徴とした右肩上がりの構造を組み込んだ姿となった。本書は、イギリス人作家、文化批評家であるマーク・フィッシャー(Mark Fisher)が晩年に残した文章をはじめ、音楽論や文化論のライターとして高く評価を得ている面々のエッセイも共に収録しており、作者が可視化したアーバニズム、コミュニティ、「アンダーグラウンド」、資本主義、ネットワーク化した未来志向、ジェントリフィケーション — そういったものを編み込んだ束のような塊を厳密かつ徹底的に探った内容となっている(英文)。アンダーグラウンドな音楽に夢中になったことがない者なら誰しも、この領域がいかに多くのことを包含しているかを知り驚くであろう。この複雑さを、作者は生き生きと表現している。

※註 1999年頃、イギリスのロンドンで誕生した、エレクトロニック・ダンス・ミュージックの種類の名称。2001年にロンドンのソーホー地区にあった「Velvet Rooms」、ショーディッチ地区の「Plastic People」というクラブで開催されていたイベント「Forward(FWD>>)」での流行が最初の大きなムーブメントだった。

Photographer Georg Gatsas’ Signal The Future unpacks many layers of an important musical era in London. Through portraits, candid shots of clubbers, and architectural investigations of the city, a narrative unfolds of how music both shapes and is shaped by its immediate urban environment. Dating from 2008 – shortly after the British club phenomenon of dubstep received international acclaim – we’re introduced to a music scene in the flush of fame. Ethnically diverse, largely working class, surprisingly close-knit, and a world apart from the country’s acclaimed indie and guitar rock history, the people in this book are united by the city and their love of the music. We glimpse dancers mid-stride, witness their steppers’ communion, and get a sense of their afterhours lives on the empty streets of Brixton in the night. In a few short years, the tone of electronic music changed and so did the images – becoming brighter, taking place more often outside, and interspersed with the kind of soaring structures that are the hallmark of modernism.The book includes essays by acclaimed writers on music and cultural theory, including the late Mark Fisher, probing deeply into many of the strands that Gatsas visualises: urbanism, community, the ‘underground’, capitalism, networked futurism, gentrification, and more. Anyone not following underground music may be surprised to realise how much is contained within its scope. Gatsas helps bring those complexities alive.

by Georg Gatsas

REGULAR PRICE ¥6,000

softcover
232 pages
202 x 290 mm
color, black and white
limited edition of 1,000 copies
2017

published by LOOSE JOINTS