スイス人フォトグラファー、センタ・サイモンド(Senta Simond)の初作品集。本プロジェクト『レイヨン・ヴェール(RAYON VERT)』は、本義では光学現象の名称である。ラテン語で「緑の光線」を意味し、空気が澄んだ日の太陽が沈む瞬間に放たれる光のことを指すが、同時にフランス人映画監督であるエリック・ロメールが1986年に制作した作品のタイトルでもあり、いずれもこのポートレート作品のテーマとして反映されている。本作は、アーティストとモデルとの間に生じる関係性の伝統的な様式を継承している作品としても捉えることができ、既存のもの、あまりにも頻繁に現れる定型文的なもの、女性的な表現に呼応して描かれている。事実に基づきそのままのイメージを写し出しており、男性支配的な視点での美しさは全く無い。作者の交友関係の中から20~30歳の女性が選ばれて撮影されたポートレイトは、イメージから多分なものを外し装飾的な要素の使用を避けている。そのアプローチは真正面から被写体を写すということや身に付けるものにまで及び、極限までその表現を突き詰めようとしている。このことは、ますます商業的になっているメディアから若者の図像を取り戻すということに向けた一つの問題提起なのである。

本書は、当初僅か16部限定の自費出版という形で刊行され、その本が「Unseen Dummy Award 2017」や「Paris Photo–Aperture Foundation PhotoBook Awards 2017 - the First PhotoBook Prize」にノミネートされたのち、2018年ドイツの出版社「Kominek Books」 より刊行。初版の完売を受け、2019年に第二版が刊行された。

The project « Rayon Vert » takes its title from the optical phenomenon and the 1986 Eric Rohmer film, both of which are reflected in the project’s approach to portraiture. The work can be seen as a continuation of the tradition of relationship between artist and model. The images respond to the existing, and too often clichéd, representations of femininity. The images are based on fact and are devoid of a patriarchal vision of beauty. Simond portrays her circle of relations, women aged between 20 and 30. Working to displace enough things from the image, avoiding decorative elements, in some images this extends to clothing, to authentically depict the subject. To arrive at a point of limit. It’s a question of taking back the image of young people from an increasingly commercial media.

by Senta Simond

REGULAR PRICE ¥8,140  (tax incl.)

100 pages
200 x 267 mm
color, black and white
limited edition of 650 copies
2018 (2019)


published by KOMINEK BOOKS