カナダ人サウンド・アーティストでありフォトグラファーのマーク・テンプルトン（Mark Templeton）による作品集。

「私は水と、水の不在が私にもたらす影響を探していた。」本作について作者はそう語る。作者は、「最も近い海が1,000キロも離れている」、完全なる内陸であるカナダ西部のアルバータ州で、カラー写真集とその「オーディオ・エクスペリエンス」を制作したのである。この不在の感覚と地理的に孤立した感覚が、2つのコンポーネントを携える新しい作品の構想を膨らませた。

「オーディオ・エクスペリエンス」は、写真集の「サウンドトラック」として作られたものであり、デジタル・ダウンロードもしくは限定版のカセットテープとして手に入れられるようにしている。

本作は憧れを抱く感情に根ざしたものである。それは、あたたかくて青い海の心地よさと、慣れ親しんだ環境からの逃避を想像することである。この補い合うような感覚が存在する世界は、一種の蜃気楼を形作っている。形のない幻想の欠片を垣間見ることのできる、ありふれた表層、空間、音波のテクスチャーが作るプリズムである。それは、荒廃したものから荘厳なものへと循環する、精神の旅路なのだ。

本書にはあわせて、8人のアーティストが寄稿する8ページの付録も用意されている。作者はこのアーティストたちを呼び寄せ、音とイメージの組み合わせを選んだ。これは、8作のサウンドトラックと自身の写真との間におけるフィードバック・ループの可能性と代替的な読解を促すものである。

サウンドトラックを視聴する

“I was in search of water and the effect its absence had on me,” writes Canadian sound artist and photographer Mark Templeton about his second photobook, Ocean Front Property. From this sense of absence and geographic isolation grew a new body of work with two components: A book of color photographs, made entirely in the landlocked province of Alberta (“where the nearest ocean is a thousand kilometers away”), and an Audio Experience (a ‘soundtrack’ to the book, included as a digital download or available on a limited edition cassette). Rooted in the same sense of longing — for the imagined comfort of warm blue water and an escape from one’s familiar surroundings — these complementary sensory worlds form a kind of mirage: a prism of banal surfaces, spaces, and sonic textures through which the fragments of an intangible fantasy can be glimpsed, a circular psychic journey from the desolate to the sublime. The photobook also contains an 8-page supplement, compiling selections by eight artists whom Templeton invited to choose pairings of sound and image, suggesting possible feedback loops and alternative readings between the eight audio tracks and his photographs.