フランス人アーティスト、ルイーズ・ブルジョワ（Louise Bourgeois）の作品集。

2023年11月から2024年4月まで「ニューサウスウェールズ州立美術館（Art Gallery of New South Wales）」で開催された、作者にとってオーストラリアにおける過去最大規模の展覧会に伴い刊行された。

日と夜、愛と憤怒、平穏と混沌、意識と無意識、恐怖と凶暴性。20世紀において最も影響力を持ったアーティストのひとりである作者の作品を集めた本展示では、作者の生み出す芸術が持つ奇妙な美しさと感情の力を鑑賞者に経験させ、その感情的な極限の世界を体感することができる。

1911年にパリで生まれ、2010年の逝去までニューヨークを拠点として活動した作者は、70年間のそのキャリアを通じて常に独創的であり続け、人と人の関係性を大胆不敵に探求したことで知られている。

本展示は、1940年代に人物を象った忘れ難き彫刻作品から、1990年代、2000年代に制作された強靭かつ繊細なテキスタイル作品まで、非凡なほどに広範で強烈な芸術表現が紹介された。また、二部屋の対照的な展示スペースを用いたドラマチックな演出を通じて、作者を探求へと駆らせたその心理的な均衡も初めて注目されている。

美術館北館地下2階の光あふれる「日」の部屋から、さらに階下の「タンク（Tank）」に設置された暗闇の「夜」の部屋まで、オーストラリアでは初公開となるものを多く含めた120点以上もの作品を展覧。

ニューヨークの「イーストン財団（Easton Foundation）」との密な協力のもとに実現した本展は、国外の女性アーティストに捧げられた展覧会として、オーストラリアでも最大規模のものを誇った。

本質をとらえた水彩画から大規模な彫刻作品まで、70年間のキャリアの中で生まれた120点以上もの作品が並ぶ。その長きにわたる芸術人生を特徴づけた、幾度となく訪れた峠、そこから創作される作品群が持つ危機的な感覚が訴えかけてくる一冊に仕上がっている。図版をふんだんに用い、キュレーターや作家陣による、作者の活動に対する重要な見解や個人的な洞察を著したテキストを収録。

EXHIBITION:

ルイーズ・ブルジョワ展：地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
会期：2024年9月25日（木） - 2025年1月19日（日）
休館日：会期中無休
時間：10:00-22:00
場所：森美術館
詳細

Louise Bourgeois (1911–2010) was one of the most influential artists of the past century. Louise Bourgeois: Has the Day Invaded the Night or Has the Night Invaded the Day? explores the powerful emotional and formal tensions that drove Bourgeois's extraordinary art: between night and day, rage and tenderness, need and resistance, geometry and gesture, anxiety and calm, fear and ferocity.

Spanning the seven decades of Bourgeois's career and featuring more than 120 works from intimate watercolors to large sculptures by the artist, Louise Bourgeois brings home the sense of perpetual and productive crisis―of the works as crises―that characterize Bourgeois's long life in art. Richly illustrated, the book features new writing by the curator and commissioned authors that offer critical insight into Bourgeois's practice as well as personal insights.