アメリカ人フォトグラファー、サム・コンティス（Sam Contis）の初作品集。本書は、カリフォルニア州に位置するとある大学を舞台に、場所そのものや大学にまつわる物語、男性的なアイデンティティを紐解き探求する。大学は少人数制の男子校であり、学術的な授業以外に畜産、農業といった分野など自然や地域に接し総括的に実践していく「ホリスティック教育」を方針とし、作者はそこで学ぶ者たちを追っている。作者が撮影した写真に加え、約一世紀前に在籍していた第1期生の写真を用いている本作は、不朽のアメリカ西部史のイメージに見事にマッチしている。それはまるでハリウッドやマスメディア、アメリカ写真史が人々の共通して持つ精神に刻み込んでくるような感覚を覚える。

The college and its surroundings provide a stage on which Contis explores the construction of myth, place, and masculine identity. Bringing together new photographs with pictures made by the first students at the college a century ago, Deep Springs engages with the enduring image of the American West––one that Hollywood, mass media, and the history of American photography have imprinted into the collective psyche.