ロンドンを拠点に活動するアーティスト集団「BANK」の作品集。自身の「Bank Arts Production Projects」の記録がまとめられており、各プロジェクトがフルカラー写真、コラージュ、テキスト付きで解説されている。

「BANK」は1991年、ロンドンの使われなくなった銀行の建物で開催されたグループ展「BANK」の流れから、美術学校を卒業した若いメンバーの出会いをきっかけに結成された。ミリー・トンプソン（Milly Thompson）、サイモン・ベッドウェル（Simon Bedwell）、ジョン・ラッセル（John Russell）を中心に展開され、それぞれが使用していたスタジオは「ギャラリー・プー・プー（Gallerie Poo Poo）」、「バンクスペース（BANKSPACE）」、「ドッグ（DOG）」などのギャラリーに姿を変え、数多くのグループ展を開催した。グループでのコラボレーション企画は、各回に招かれたアーティストの作品と次第に混ざり合っていき、10年にわたり楽しさに満ちたキュレーション的な実験を可能にした。「BANK」が描くシナリオは、「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト（Young British Artists / YBAs）」のそれと同じように、芸術活動がもたらす支配的な立場に対する批評として在り、その表現には批判めいた攻撃性、不遜さ、風刺的な性質が嬉々として示された。

よく知られる単独プロジェクトとしては、「ギャラリー・プー・プー」で1990年代後半にスタートした「BANK Fax-Bak Service」である。メンバーは、ロンドンとニューヨークのギャラリーが発行した300以上のプレスリリースを校正し、編集し、修正した。方法は至ってシンプルであり、大元のプレスリリースの内容を嘲笑うように変更を加えた後、それぞれのギャラリーにファックスで送り返すというものである。この企画は、自慢げで、独りよがりで、ナンセンスな言葉によって自らを正当化しようとするアート市場における（現在も続く）「骨折り損の果てなき努力」を暴露する悪名高いものである。

Documentation of Bank Arts Production Projects. Each project described with full color photographs, collage imagery, and some with accompanying texts. Contributing artists include David Burrows, Peter Seymour, Liz Arnold, Rebecca Warren, and more.