45 by Damian Heinisch
現在ノルウェーを拠点として活動するポーランド人フォトグラファー、ダミアン・ハイニシュ(Damian Heinisch)の初作品集。
「本書は列車の車窓から見た時系列に沿ったビジュアルドキュメントである。ウクライナのドネツク州デバルツェヴォを出発し、グリヴィツェ、ドイツのエッセンを通って、最後にノルウェーの首都オスロに到着する(...)この一連の流れを反映するために小口袋を用いた和装本とし、ところどころでイメージの流れを断ち切ったりつなぎ合わせたりすることによって、否応なしに中断を意識させつつ、連続性を追い求めずにはいられない気持ちにさせられる」– ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィー誌
本作に収められた断片的なイメージのシークエンスは、物理的な環境にいる人の存在を強調・対比している。よく見ると、全ての写真が電車の窓から撮影されたことに気が付くだろう。作者の親族は、1945年と1978年に命がけで電車の旅を行い、1人は自由を得たがもう1人は死を迎えた。これに触発され、作者は現代ヨーロッパをウクライナからオスロまで彼らと同じように旅した。ハイニシュ家の3人の旅人は、それぞれが旅の途中で45歳を迎えている。本書の物語は、ヨーロッパの過去と現在の境界線の内側で発生している強制移住の問題に迫る。2013年に作者が帰国してから8か月後、ドネツク地方では新たな紛争が勃発し、その戦いは今も続いている。本書は、イギリスの出版社MACKが主催する過去に写真集出版経験の無い作家の出版支援を目的とする「First Book Award」の2020年グランプリ受賞に伴い刊行。
"The book is a chronological, visual document pictured from the train window, starting in Debaltsevo, through Gliwice, Essen in Germany and eventually Norway’s capital, Oslo. […] To reflect this, images are interrupted and spliced across sections of the Japanese-bound book, imploring the viewer to notice the interruption, but search for continuity." – British Journal of Photography
45 describes a sequence of image fragments that emphasise and contrast human presence in their physical surroundings. Upon closer examination, the viewer becomes aware that all images are taken through a train window. The photographer’s journey, which takes him from Ukraine to Oslo through present-day Europe, is inspired by train journeys taken by relatives in 1945 and 1978, leading them to death or freedom. At this point in all three journeys, each family member turned 45. The book’s narrative challenges the issue of forced immigration within the boundaries of Europe’s past and present. Eight months after the author’s return in 2013, a new conflict erupted in the Donetsk region, leading to an ongoing war.