ELLIPSIS AFTER CLOSURE by Nicha Keeratiphanthawong, Tabea Nixdorff

タイ出身のグラフィックデザイナー、ニチャ・キーラティファンサウォン(Nicha Keeratiphanthawong)とベルリンを拠点に活動するドイツ人アーティスト、タベア・ニクスドルフ(Tabea Nixdorff)による作品集。

本作は、オランダにあるArtEZ芸術大学の2年間のグラフィックデザイン修士課程プログラムの一環「Werkplaats Typografie」で、2020年の修了制作展に本の形で出品されたものである。2人が開催した「hole mending meditation workshops(穴繕いワークショプ)」に参加した人々が提出した穴の作品がまとめられている。

織物はコンピュータのコーディングと同じように、複雑に自動化された網目であるという考えのもと、2人はコードのバグやシステム・エラーのような縫い目の脱落という破断点だけが、手動による介入を要求されると考えた。つまり、限りなく続くデジタルな情報の糸をたどり、ハードウェアばかり触っていることで忘れがちな自分の身体的な存在や位置づけを「修理」という機能に見出したのだ。

修理のジェスチャーとアナログな形のネットワーキングを文字どおり触覚的な活動として体験するため、本書のプロジェクトにおいて2人はワークショップ参加者と共にテキスタイルに穴を開けることから始めた。衣服の脱落した縫い目を合わせ、明らかな「バグ」を補修することで、修理者の存在を強調することや衣服に宿る個人的な物語を辿り直すことを目指した。穴に糸を通し、縫い上げ、修復する行為を通して回復の訓練を行うことは、現在の世界の社会情勢において、社会基盤にある傷や瘢痕から目を背けず、ものを丁寧に扱うという癒しの実践が緊急に必要であることを思い起こさせる。

本書の製本は、ミシン糸で綴じる方法を用いている。

Ellipsis after Closure is a 2020 Werkplaats Typografie End of the Year Show in book form by Nicha Keeratiphanthawong and Tabea Nixdorff, with mended hole contributions submitted by participants who took part in hole mending meditation workshops in 2020.

Following endless digital threads of information and being in constant touch with ‘hardware,’ it is easy to forget one’s bodily presence and situatedness. Weavings, just like computer coding, are complex automated nettings. Only the point of rupture—a dropped stitch, like a bug in the code, a systemic error—redirects the attention outside of the machine by requesting a manual intervention.

by Nicha Keeratiphanthawong , Tabea Nixdorff

REGULAR PRICE ¥4,180  (tax incl.)

softcover
132 pages
160 x 220 mm
black and white
2020

published by WERKPLAATS TYPOGRAFIE