MAISON BELGE: BELGISCHES HUIS by Candida Höfer
ドイツ人フォトグラファー、カンディーダ・ヘーファー(Candida Höfer)の作品集。2021年3月から5月にかけてケルンの「Galerie Thomas Zander」で開催された展覧会に伴い刊行された。この展覧会では、1950年に開館し、2020年に70周年を迎えたケルンのベルギーハウスを記録した一連の写真が展示された。作者の大判写真は、ケルンの歴史の中でも特別な存在であるベルギーハウスとベルギーの文化との関わりを探究している。この施設は、終戦直後に闇資金で調達したという波乱に富んだ歴史があり、伝統とモダンの両方の要素とグリュンダーツァイト(※註)の建築様式を融合させ、ベルギー産の大理石、鉛窓、旧植民地ベルギー領コンゴの熱帯木材で装飾され、独特の建築的特徴を持つ。近年では、大規模な修復により、新たな輝きを放つことになった。作者は、何度か現地を訪れてこの文化財の記録を残している。ドイツ人考古学者マルクス・トリアー(Marcus Trier)によるエッセイでは、伝統ある建造物の歴史について紹介されている。
(※註)ドイツ帝国が成立した1871年以降、産業革命を経て19世紀末葉に訪れたドイツ好景気時代に建立された建造物を指す
In the 70th year of its existence, the Belgian House in Cologne, which opened in 1950, can look back on an eventful history: financed from dark sources, a gem of the early post-war years was created with an idiosyncratic architectural signature. Thanks to extensive restoration, the building has recently been shining in new splendor. Candida Höfer has visited the site several times and documented it in her impressive photographs. An essay by Marcus Trier is devoted to the history of the tradition-rich building.