ALPHA by Doug Aitken

アメリカ人アーティスト、ダグ・エイケン（Doug Aitken）の作品集。作者自身が構想、制作した本書は、作者が「スクリーンの平面上では物足りなくなり、作品が段々と空間の別の部分へと展開していったのだ」と語る。

近年、作者は表現として、一つの構造上に複数の箇所から投影をしてきた。そして「広々とした孤独な風景」（「Electric Earth」、「Diamond Sea」）から、「広々とした孤独な人々」（「new skin」）へと移行した。シュールな本作のシナリオを辿る主人公は、どちらの要素も持つ。彼は旅をしながら非物質化し、やがて自身が居住する空間と化す。

本書はドイツ人俳優であるウド・キア（Udo Kier）を主役に据えた映像作品として生み出され、刊行物は男の横顔の形を模した装丁となっていることから、スクリーンに物足りなさを感じたのと同様に従来の本の持つ四角い形にも飽きてしまっていることが見受けられる。イメージには作者によるテキストが随所に添えられている。

This artist’s book, conceived by Doug Aitken, is based on a surrealistic scenario: a man traveling all the time is dematerializing himself. He takes the form of the room he is living in. Produced as a film, with a main contribution of Udo Kier, the publication itself takes the shape of a man’s head. The images are accompanied by a text by the artist.