RECYCLING BEAUTY
中世からバロック時代にかけての古代ギリシャ・ローマ美術の遺産と再利用にまつわる作品集。2022年11月から2023年2月にかけてイタリア・ミラノの「プラダ財団(Fondazione Prada)」で開催された展覧会に伴い刊行された。
断片化、再利用、解釈の重要性を強調する本展「リサイクリング・ビューティー(RECYCLING BEAUTY)」は、過去を常に進化する不安定な現象であると考察する一助となっている。この展覧会では、パリの「ルーヴル美術館」、ウィーンの「美術史博物館」、コペンハーゲンの「カールスバーグ・グリプトテーク」、ローマの「カピトリーニ美術館」、「バチカン美術館」、「ボルゲーゼ美術館」、フィレンツェの「ウフィツィ美術館」、ナポリの「国立考古学博物館」など国内外のパブリックコレクションや美術館から代表作50点以上が展示された。キュレーションは、イタリア人美術史家兼考古学者のサルヴァトーレ・セッティス(Salvatore Settis)とアンナ・アンギッソラ(Anna Anguissola)、デニース・ラ・モニカ(Denise La Monica)、展示デザインはプリツカー賞受賞の建築家であるレム・コールハース(Rem Koolhaas)率いる建築設計事務所「Office for Metropolitan Architecure(OMA)」が手がけた。
この研究の基礎となる前提は、古典を単に過去の遺産としてではなく、現在と未来に影響を与える力を持つ重要な要素として考える必要性である。革新的な解釈のアプローチと実験的な展示形式によって、古代遺産、特に古代ギリシャ・ローマ世界の文化的遺産は、キュレーターのセッティスの言葉によると「現代社会の文化の多様性に進入するための鍵 」となっている。
'Recycling Beauty' is an unprecedented study dedicated entirely to the reuse of Greek and Roman antiquities in post-antique contexts, from the Middle Ages to the Baroque era. The exhibition is curated by Salvatore Settis and Anna Anguissola with Denise La Monica, designed by Rem Koolhaas/OMA. The underlying premise of this research is the need to think of the classical not simply as a legacy of the past, but also as a vital element with the power to affect our present and future. Through an interpretive approach and an experimental exhibition format, ancient heritage-in particular Greco-Roman heritage-becomes, in Settis' words, "a key that provides access to the multiplicity of cultures in the contemporary world."