MUNDO DE PAPEL by Thomas Demand

ベルリンとロサンゼルスを拠点に活動するドイツ人アーティスト、トーマス・デマンド（Thomas Demand）の作品集。プリツカー賞受賞建築家レンゾ・ピアノ（Renzo Piano）が手がけたスペインの都市サンタンデールのアートセンター「セントロ・ボッティン（Centro Botín）」にて開催された大々的な個展に伴い、ボティン財団と共同で刊行された。作者は、一見すると本物のように見える原寸大の精巧な紙製の「彫刻作品」を制作し撮影するスタイルで知られているが、今回かつてないほど挑戦的な企画として、その紙製の「彫刻作品」を本の形に仕上げた。作者の作品制作の要となっているのは、紙工学と、「表現」と「現実」の関係である。「セントロ・ボッティン」での展示時では、8つの大きなパビリオンが吊り下げられて都市の風景を模していたが、本書ではその作品を再現するため、高度な紙の加工技術と力学を用いてポップアップブック（飛び出す本）として作り変えている。作品の表現性を新たな段階へと引き上げる、無類の一冊に仕上がっている。

付属の別冊には、展示されたインスタレーションの記録写真とともに、ノーベル文学賞受賞者であるマリオ・バルガス・リョサ（Mario Vargas Llosa）によるテキストも掲載されている。

Co-produced with the Fundación Botín on the occasion of a major solo exhibition at the Centro Botín in Santander, Mundo de Papel demonstrates the elaborate life-sized paper sculptures of internationally renowned artist Thomas Demand in the most ambitious book project of his work yet. Demand’s practice is all about paper engineering and the relationship between representation and ‘real’ events. This extraordinary book takes that dialogue to a new level with the sophisticated use of paper mechanics in the form of pop-ups representing the 8 large pavilions Demand designed to be suspended in the Centro Botín, each of which replicates an urban landscape.

The volume includes a separate book of installation views of the exhibition and a newly commissioned text by Nobel laureate Mario Vargas Llosa.