FLUXUS AND BEYOND: URSULA BURGHARDT, BENJAMIN PATTERSON by Ursula Burghardt, Benjamin Patterson
ドイツ人アーティストであるウルスラ・ブルクハルト(Ursula Burghardt)とアメリカ人アーティストであるベンジャミン・パターソン(Benjamin Patterson)の作品集。2024年10月から2025年2月までケルンの「ルートヴィヒ美術館(Museum Ludwig)」で開催されている展覧会に伴い刊行された。
1960年から1970年代にかけてニューヨークを舞台に世界的に広がり、今なお高い影響力を持つ前衛芸術家集団「フルクサス(Fluxus)」の活動に新たな視点をもたらす一冊。展覧会と本書では、「フルクサス」が広げたネットワークに参画しながらも、その存在は活動周辺のみに留まり作品は今日までにほとんど知られていなかった2人のアーティストに焦点を当てる。
1960年代、ケルンはドイツ西部ラインラント地方において、活気ある芸術活動の核となる場所のひとつであり、国際的に活躍する作家たちが出会える場でもあった。ドイツの公共放送局「西部ドイツ放送(Westdeutscher Rundfunk Köln / WDR)内にあった「ケルン電子音楽スタジオ(Studio für Elektronische Musik in Köln)」は世界初の電子音楽スタジオとして重要な磁場であり、「フルクサス」の活動もまた新たな音楽を取り入れた。特にジョン・ケージ(John Cage)の影響を受けたコンセプトから始まった「フルクサス」のアーティストたちが手がけた音楽は、芸術と生活を融合させ、多様なメディアを組み合わせたアクションやパフォーマンスを展開した。音楽、文学、美術、建築を融合させた数々のイベントが、ドイツ人アーティストであるメアリー・バウエルマイスター(Mary Bauermeister)が持つケルンのアトリエで開催された。1960年、ブルクハルトとパターソンはここで出会った。この二人の伝記はその作品で形作られているといっても過言ではなく、「フルクサス」を新たに考察する出発点となる。
Fluxus is one of the most influential art movements of the 1960s. Emerging from experimental music concepts, Fluxus evolved into actions and performances that fused art and life and employed diverse media. Numerous events were held in Cologne at the studio of the artist Mary Bauermeister, bringing together music, literature, art, and architecture. It was there that Ursula Burghardt (1928–2008) and Benjamin Patterson (1934–2016) met in 1960. This catalogue focuses on the unique works of these two artists. Their biographies shaped their oeuvres, which serve as the starting point for this reconsideration of Fluxus.