ADVICE FOR YOUNG ARTISTS by Alec Soth
国際的写真家集団「マグナム・フォト」正会員を務めるアメリカ人フォトグラファー、アレック・ソス(Alec Soth)の作品集。2022年から2024年にかけて作者はアメリカ全土をまわり、25もの大学の美術学部を訪れた。本書は、その過程で作者が制作した作品で構成されている。本書のタイトル「若きアーティストたちへのすすめ(ADVICE FOR YOUNG ARTISTS)」の意味は、おそらくこの訪問そのものとも同様に、誤解を招きかねないものであろう。作者が知恵や手引きを与えるというよりも、人生の様々な段階において制作することや、写真・時間・歳を重ねることとの関係に対して、尖ったまま解き明かされていない思考を提示している。本書に収録されている写真は、教室での授業を思わせる形式的な習作から、よりやんちゃで気ままな自己表現が見受けられる作品まで幅広く展開されている。曖昧な演出、見つけられた形式、感情豊かなポートレイトが、ポストイットに走り書きされた格言的な引用や仕上がりきっていない志とともに散りばめられている。生徒たちの写真の中には作者自身もそこかしこに現れており、あやしげな賢者として彼らの中に紛れ込んでいる。
アメリカ人フォトグラファーのウォーカー・エヴァンス(Walker Evans)による最晩年のポラロイド写真作品から着想を得たこの作品は、自身の最初の作品集『SLEEPING BY THE MISSISSIPPI』(2004年)の刊行から20年経た上での作者の実践における新たな広がりと新しい景色が見られる地点を感じ取ることができる。『BROKEN MANUAL』(2010年)での発想を思い起こさせる本作は、内省と挑発を隠すために、うわべだけの教育的な体裁を用いており、若きアーティストの経験を追った研究であるとともに、本書は歳を重ねたアーティストになっていく予感でもあるのだ。
EXHIBITION:
アレック・ソス新刊『ADVICE FOR YOUNG ARTISTS』刊行記念 フェア&サイン会 at 代官山 蔦屋書店
[サイン会]
日程:2024年10月7日(月)
時間:19:30 - 21:00
場所:代官山 蔦屋書店 2号館 1階 アートフロア
[フェア]
日程:2024年10月1日(火) - 10月17日(木)
時間:店舗営業時間に準ずる
場所:代官山 蔦屋書店 2号館 1階 アートフロア
詳細
『アレック・ソス 部屋についての部屋』関連イベント
at 東京都写真美術館
[サイン会]
日程:2024年10月12日(土)
時間:16:30- 18:00
場所:東京都写真美術館 2階 ミュージアムショップ NADiff BAITEN
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[トーク]
アレック・ソス アーティストトーク
日程:2024年10月12日(土)
時間:14:00 - 16:00
場所:東京都写真美術館 1階ホール
詳細
Between 2022 and 2024, Alec Soth visited twenty-five undergraduate art programmes across the United States. Advice for Young Artists comprises work he made there. Its title – perhaps like the visits themselves – is misleading: rather than wisdom or guidance, Soth offers an angular and unresolved reflection on artmaking at different stages of life and the relations of photography, time, and ageing. The photographs here range from formal studies evocative of the classroom to more unruly works of self-expression. Ambiguous stagings, found forms, and lyrical portraits are interspersed with gnomic quotes and unfinished credos scrawled on Post-its. Among the students, Soth himself appears at intervals, an uncertain sage in their midst.
Inspired by Walker Evans’s late Polaroids, this latest body of work reveals a new expansion of Soth’s practice and a new vantage, twenty years on from the publication of his first book. Recalling the conceit of Broken Manual, it uses an instructional format as a spurious cover for introspection and provocation. As much as a study of the experience of the young artist, this is a reckoning with the prospect of becoming an old one.