TERP INTERRUPTED by Christine Sun Kim
ベルリンを拠点に活動するアメリカ人アーティスト、クリスティーン・サン・キム(Christine Sun Kim)による音楽作品。
ベルリンを拠点とする独立系出版社である「Ediciones Inauditas」と、同じくベルリンを拠点とする現代美術・言論活動の場として在る「Neuer Berlier Kunsverein (nbk)」とのコラボレーション・シリーズ「n.b.k. Records」の第4弾。同シリーズは様々なビジュアル・アーティストの作品をLPとして発表しており、それ自体が美術作品として作られている。
このオーディオ・レコーディングは、新しい試みであると同時に、作者が活動初期から探求し続けている道筋を想起させるものでもある。作者にレコード制作を依頼することによって、キュレーター陣は、音声を使った作品への回帰を提案した。それは、振動の感覚と音による身体的体験を特徴とする作品への回帰であり、作者はしばしば声を用いている。「(自分の声を)体の内側で感じることができる。そうすることで、私にとって身近なものになるのです。」耳が不自由な人々の文化との具体的な繋がりだけでなく、作者の実践が持つこういった側面は、コンセプチュアル・アートの最も深い部分にまで及んでおり、制作とプレゼンテーションの多くがアイデアと伝達という一つの連なりとして存在している。
一方で、接触する形態の拡大と、耳が不自由である者を作品で可視化を主張するという点で、暗黙のうちに政治的な作品であると指摘する人もいる。そして、このプロジェクトも耳が不自由である者の経験にまつわるものではあるが、(このテキストの恩恵にあずかることなく)直接聴くと、社会主義リアリズムの詩の朗読か、あらかじめ用意された演劇作品のポッドキャストと最初は解釈されるかもしれない。作者によって書かれた台本の中の断片的なテキストの一群は、自身の日常生活の中から抜粋されたものであり、親しい家族、友人、同僚、プロの通訳によって語られる。それは、作者が声を発さずとも作者の声を集めたものであり、あるいは少なくとも耳にすることができる形をした作者の存在の痕跡なのである。
This audio recording is a new experiment, and simultaneously recalls a line of inquiry from the early practice of Christine Sun Kim. By inviting her to make a record, the curators proposed a return to her work with audio—to a series of artworks that were characterized by
the sensorial vibrations and bodily experience of sound, for which she often employed voice. “I can feel [my voice] inside of my body, and in this way it is accessible to me.” Alongside an embodied connection to Deaf culture, this aspect of her practice also reaches into the deepest registers of conceptual art, in that much of its production and presentation exist as a set of ideas and transmissions.
Others have pointed out that Kim’s
work is implicitly political in that it argues for
the visibility of Deaf people and expanded forms of access. And while this project too is about
Deaf experience, a direct listening (without the benefit of this text) might first be interpreted as
a recitation of social realist poetry or a podcast- ready rendition of a theatrical production. The constellation of fragmentary texts in the script written by Kim are excerpted from moments in her everyday life. They are spoken by Kim’s close circle of family, friends, colleagues and professional interpreters. Together they approximate the collective voice of Kim, or at least the audible traces of her presence.