THE MUSIC ROOM by Claes Oldenburg, Coosje van Bruggen
スウェーデン出身、アメリカを拠点に活動したクレス・オルデンバーグ(Claes Oldenburg)と、オランダ生まれのアメリカ人現代美術家、美術史家、評論家、コーシャ・ファン・ブリュッゲン(Coosje van Bruggen)による作品集。2005年4月から6月にかけてニューヨークの「ペース・ギャラリー(PACE GALLERY)」(当時の名称は「ペースウィルデンシュタイン(PACEWILDENSTEIN)」)で開催した展覧会に伴い刊行された。
「オルデンバーグとファン・ブリュッゲンの作品は、人生を肯定するものでありながら、その慣習を破壊するものでもある。」-リチャード・モーフェット(Richard Morphet)
本展ではオルデンバーグとファン・ブリュッゲン夫妻のデュオが2000年から2005年にかけて制作した楽器にまつわる彫刻作品、またそれに関連する木炭やパステルを用いた紙上作品が展覧された。ヴィオラ、クラリネット、リュート、トランペット、フレンチ・ホルン、ストラディヴァリウスを象って縫い合わせたキャンバス作品や鋳造アルミニウムの彫刻作品、またメトロノーム、楽譜が置かれた譜面台などが展開された。この彫刻作品は、17世紀にヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)によって描かれた2つの音楽室の絵画「ヴァージナルの前に立つ女(Lady Standing at a Virginal)」と「ヴァージナルの前に座る若い女(Lady Seated at a Virginal)」)に触発されて制作されたものであり、この絵画は新作を生むきっかけとなった。
フランスのロワール渓谷にある二人の邸宅兼アトリエ「シャトー・ド・ラボルド(Château de la Borde)」は、オノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)やマルセル・プルースト(Marcel Proust)らが賞賛した場所でもあり、その存在は作者の作品に影響と育みを与えた。伝統と歴史に彩られたこの建物は、二人が音楽室として改装した18世紀のサロンを中心に構成されているのである。
フォトグラファーであるトッド エバリー(Todd Eberle)が手がけた展覧会風景の写真、美術史家でありキュレーターのリチャード・モーフェットによるテキストを収録。リチャード・モーフェットはエッセイの中で語る。
「この展覧会で見せているすべての作品の根底には『束縛と解放』という重要なコンセプトが存在し、このアイデアは感情の起伏が反映された物理的なフォルムで具現化されている。それはあたかも物体が自制心を失っているかのようであり、礼儀正しくあるような社会では受け入れがたいものである。音楽室やサロンには、楽器の演奏を聴くためだけでなく、観る、観られるために人々は集まる。バルザック、プルースト、イヨネスコは、社会的慣習やその形式を強調する一方で、それを脱構築し、覆す。オルデンバーグとファン・ブリュッゲンは、楽器の形という慣習を利用して、同じことをしているのである。」
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“Though life-affirmative, the work of Oldenburg and van Bruggen is also subversive of convention.” Richard Morphet
Claes Oldenburg / Coosje van Bruggen: The Music Room was published on the occasion of the 2005 exhibition at Pace in New York, in which the duo’s sculptures and drawings of musical instruments took center stage. Amply illustrated, this book includes a text by art historian and curator Richard Morphet.
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