CULTUREFIELD by Ryan Gander

ロンドンを拠点に活動する現代アーティスト、ライアン・ガンダー(Ryan Gander)の作品集。2013年から2016年にかけて「モントリオール現代美術館(Musée d’art contemporain de Montréal)」による企画のもと開催された巡回個展「make every show like it’s your last」に伴い刊行された本書は、作者が手がけてきた多彩な作品群を探る一冊である。

作者が生み出す作品の形式とアイデアは、めまぐるしいスペクトルに富むことで定評がある。非常に豊かな想像力を駆使して、コンセプチュアル・アートの領域を再訪するような作品を創り出し、ウィットなしには語れない形で表現することに全力を尽くしている。それぞれのプロジェクトは入念にリサーチされ、造語、チェスセット、テレビの台本、児童書など、あらゆるメディアとコンセプチュアルな表現が用いられる。我々が普段見慣れている歴史的な物語や文化的パラダイムが、その構造や前提を解きほぐすべく作品へと取り入れられ、いかようにも解釈できる可能性に満ちたとらえどころのないシナリオを提示している。

作品の文脈において、基本として在る作者/作品/鑑賞者で構成される三連の関係性は、まさに内省的にそのすべての趣旨を体験することを目的とし、その目的へと作品が向かうための正しい出発点を表している。

作者の場合、作品は解かれるべき謎のように見える。しかし、単純な解決策を見出すには途方もなく、作品の位置づけや役割こそ再考すべき問題なのである。作者が我々に提示する本当の「展示」とは、このように鑑賞されることなのだ。しかし同時に、作品という物語を巡る乗り物として、そして困惑しつつも積極的に、意図的に動き回りながら思考する道筋の仲介者としても関わるべきなのだ。

巡回展は、2013年にフランス・パリの「フラック・イル=ド=フランス / ル・プラトー(FRAC Ile-de-France/Le Plateau)」、2014年に「マンチェスター市立美術館(Manchester Art Gallery)」、「CCA デリー/ロンドンデリー(CCA Derry-Londonderry)」、2015年に「OK Offenes Kulturhaus / Center for Contemporary Art」、「アスペン美術館(Aspen Art Museum)」、バンクーバーの「コンテンポラリー・アート・ギャラリー(Contemporary Art Gallery, Vancouver)」、2016年に「モントリオール現代美術館(Musée d’art contemporain de Montréal)」で開催された。

Ryan Gander's work ranges across a dizzying spectrum of forms and ideas. His meticulously researched projects - which have included such diverse conceptual gestures as an invented word, a chess set, a television script, and a children's book - engage familiar historical narratives and cultural paradigms only to unravel their structures and assumptions, presenting elusive scenarios that abound with interpretive potential.

by Ryan Gander

REGULAR PRICE ¥19,800  (tax incl.)

ISBN: 9783863355708

softcover
560 pages
255 x 365 mm
color
2014

published by WALTHER KÖNIG

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