パリを拠点に活動するチェコ人フォトグラファー、ヨゼフ・クーデルカ（Josef Koudelka）の作品集。本書は、2022年から2023年にかけてスイス・ローザンヌの「エリゼ写真美術館（Photo Elysée）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

タイトル「IKONAR」は、作者が出会った「ロマ（※註）」の人々が付けたニックネームである。ロマのコミュニティを写した作者の有名な写真作品が彼らの祈りの場に疑似宗教的な象徴として用いられていたため、「偶像の創造者（maker of icons）」という意味を込めてそのように呼ばれていた。しかし、作者は単に、世界的に崇められる「写真の創造者（maker of photographs）」なのではなく、「イメージの収集家（collector of images）」でもあり、その量は多数に及ぶ。

本書は、1960年から2012年の間に制作された作品を網羅し、未発表を含めた様々な作品を収録。作者のアーカイブの中の30,000点を超える35mmコンタクトシートからセレクトされている。アーカイブを論理的に拡げた7つのテーマ別「コンステレーション」に、35mmフォーマットで撮影された中核的な作品シリーズのポートフォリオが配置される構成となっている。このような作りによって、作品と制作過程の進化を並行して鑑賞者が視覚的に探求することを可能にしている。

※註 中東欧に居住する移動型民族（ジプシー）

9783959056304Ikonar is a nickname given to Josef Koudelka by a group of Roma he encountered. It refers to him as a “maker of icons”, because they used his famous photographs of Roma communities as quasi-religious icons in their place of prayer. However, Koudelka is not merely a globally respected “maker of photographs”, he is also a prolific “collector of images”. IKONAR. Archival Constellations, which covers the period from 1960 to 2012, makes a range of materials available, some of them unpublished. They were selected from the 30,000-plus 35 mm contact sheets in Koudelka’s archive. Published in conjunction with the exhibition at Photo Elysée in Lausanne, it presents portfolios of core series of his work shot in 35 mm format, interleaved with seven thematic constellations that are a logical extension of his archive. It thus allows parallel visual explorations of his work and the evolving processes of creation.