WORK 1961-73 by Yvonne Rainer

アメリカ人ダンサー、振付家、映画監督であるイヴォンヌ・レイナー(Yvonne Rainer)の作品集。1974年に「ノバスコシア美術デザイン大学(Nova Scotia College of Art and Design)」より刊行された同名作品集の復刻版。

ダンスはダンスであり、ダンスの本は本であることは言うまでもない。この2つは芸術と善意が交差する場所で出会うのかもしれないが、私はそれでは満足できない。私は長年言葉に夢中になってきた。他の何よりも言葉こそが明晰さへの鍵を与えてくれるという確信は、簡単に覆されるものではない。言葉は経験に取って代わるものではなく、むしろ私たちの経験を映し出す鏡であり、必要なときには体験との間に距離を置かせてくれるものなのだ。だから私は、ある意味で、自分のパフォーマンスを本に『置き換え』ようとしている。すでに他の表現で明らかになっていたことを、貪欲に言葉によって明確にしようとしている。しかし、残念ながら、それは消えてしまった。このことは、言葉が出るにまかせて、私のパフォーマンスの痕跡を1冊の本にまとめるための良い理由だと思う。そこにはこう書いておこう『彼女は普段はパフォーマンスをしているが、本も作ったことがある』と。」-イヴォンヌ・レイナー

1974年、作者はそれまでの自身のパフォーマンス作品を豊富な図版をまじえてまとめた作品集『WORK 1961–73』を出版した。芸術界がミニマリズムに傾倒していくのと時を同じくして、「ジャドソン・ダンス・シアター(Judson Dance Theater)」を立ち上げた作者と仲間たちは、同じようにダンスの前衛的な再定義に挑んでいた。

彼らはダンスから人目を引くための華やかさや真面目くさった超絶技巧を取り除き、ダンサーで振付師のパット・キャターソン(Pat Catterson)が呼ぶところの 「民衆のダンス」を創り出していた。あるいは、作者がやっていたように、伝統的なダンスの「大げさな筋書き」の代わりに、「立つ、歩く、走る、食べる、レンガを運ぶ、映画を観せる、あるいは自分以外の何かによって動き、動かされる」といった「明白な」別の方法を探求した。

本書は、作者がダンス、パフォーマンス、アートにおける革命の中心に自分自身と自分の作品があることを意識した時代を、年を追って記録したものである。写真、手書きの楽譜、スケッチ、プレス記事、その他の印刷物で彩られた本作は、作者の率直で面白く、鋭敏な素晴らしい散文で書かれた時代の記録であり、取扱説明書であり、アーカイブであり、マニフェストでもある。

希少なこの名作は、巻末に新しく少しばかりの注釈を追加した他は完全な再現版として復刻された。同世代の中で最も大きな影響力を持つアーティストの1人で、ダンサー、振付家、映像作家として活躍する作者は、ニューヨークの「ジャドソン・ダンス・シアター」の創設メンバーであり、ミニマリズムとポストモダンの発展に貢献した。作者と1960年代のダンス、パフォーマンスの過激な展開に興味を注ぐ者には必見の一冊である。

Originally published in 1974 by the Nova Scotia College of Art and Design, Yvonne Rainer’s Work 1961-73 documents the artist’s landmark early works at the intersection of dance, performance, and art. The publication provides multifaceted insight into some of the artist’s most celebrated choreographic works, including Terrain (1962), Trio A (1966), Continuous Project-Altered Daily (1970), War (1970), Street Action (1970), and This is the story of a woman who … (1973)among many others.

Assembled ostensibly as a survey, Work 1961-73 features a multitude of documentary forms, including scripts, excerpts from the artist’s notebooks, press reviews, correspondence, photographic documentation, literary excerpts, contextualizing texts by the artist, diagrams, film stills, floor plans, scores, and more. As such, the publication resembles an artist book that generously gives the reader access to Rainer’s modes of working, as well as the social and political context around which the work was made. The publication is also a book of writing, with the artist’s frank, witty, and sometimes humorous prose intimately leading the reader through each work.

As the artist states in the book’s introduction:

I have a longstanding infatuation with language, a not-easily assailed conviction that it, above all else, offers a key to clarity. Not that it can replace experience, but rather holds a mirror to our experience, give us distance when we need it. So here I am, in a sense, trying to ‘replace’ my performances with a book, greedily pushing language to clarify what already was clear in other terms. But, alas, gone. This has seemed one good reason to compile a book ‘out of’ the remains of my performances, letting the language fall where it may. Let it be said simply “She usually makes performances and has also made a book.”

Work 1961-73 is an indispensable publication for anyone interested in the artist and the radical developments in dance and performance in the 1960s.

by Yvonne Rainer

REGULAR PRICE ¥8,580  (tax incl.)

softcover
346 pages
197 x 274 mm
black and white
limited edition of 3,000 copies
2020

published by PRIMARY INFORMATION