PAW VOL.01
出版をめぐる実践と思想を総体として捉えることを目的とした、「出版芸術工房(Publishing Arts Workshop)」による雑誌『PAW』の創刊号。執筆、編集、デザイン、流通といった出版の諸要素を横断的に扱い、「出版芸術/技術」として再考するためのリサーチと翻訳を主軸に活動する。
創刊号では、メキシコ出身のコンセプチュアル・アーティスト、ウリセス・カリオン(Ulises Carrión)の思想と実践を紹介、特集する。文学研究を背景に活動を開始したカリオンは、1970年代アムステルダムを拠点に、アーティスツ・ブックを中心としながら、レクチャー・パフォーマンス、メール・アート、サウンド、ヴィデオなど、複数のメディアを横断する実践を行いました。「本づくりという新しい芸術」は、アーティスツ・ブックをめぐる理論と実践において、現在も重要な参照点とされている。
また、イン・アウト・センターへの参加や、アーティストによる出版物を専門に扱う書店アザー・ブックス・アンド・ソーの設立に見られるように、カリオンは制作だけでなく、展示や流通、制度のあり方にも積極的に関与した。本誌は、こうした活動を支えた思想を、これまで邦訳されてこなかった主要テクストを通して提示する。アーティスツ・ブックや実験的な出版実践を継続的に紹介してきた twelvebooksにおいて、カリオンの仕事は、出版を表現として捉え直すための基点となる。本誌は、その思考と実践を日本語で共有する最初の試みとして制作された一冊である。
本稿収録論考
001 本づくりという新しい芸術
ウリセス・カリオン
002 個人世界か文化戦略か?
ウリセス・カリオン
003 勝つことなど頭になかった
ウリセス・カリオンとその活動へのまとまりのないアプローチ
ギー・シュレーネン
004 転覆としての芸術
つくって、つくって、つくりなおす
ジョアン・フェルナンデス
005 ウリセス・カリオンの没後の受容
マイケ・アデン