WHAT IS THE OBJECT? by Richard Tuttle
アメリカ人アーティスト、リチャード・タトル(Richard Tuttle)の作品集。作者は、オブジェクトや作品はコミュニケーションのために存在すると捉えている。多くの人々は、オブジェクトが投げかける問いに対する答えを歴史の中に探し求める。それに対し、作者にとってはその問いこそが芸術作品を生み出す原動力なのである。つまり鑑賞者に対し、オブジェクトが何を、いかにして意味するか、作品を通して疑問として投げかける。
本書は、2022年に「バード大学院センター(Bard Graduate Center)」内ギャラリーにおいて開催された個展「Richard Tuttle: What Is the Object?」に伴い刊行された。自ら50年間に渡り蒐集してきたオブジェクトのコレクション、またそれに関する自身の見解を記録したインデックスカードを紹介する形式を用いた初の刊行物である。
ベルギー人ブックアーティストのリュック・デレイケ(Luc Derycke)が「オブジェクトとしての本」として造本した本書は、オブジェクトの意味性という難題を本の形で提起している。アメリカ人作家レニー・グラッドマン(Renee Gladman)は、詩的なノンフィクションにおいてオブジェクトが持ちうる意味の分析を、歴史家でバード大学院学長・教授のピーター・N・ミラー(Peter N. Miller)は、ある種の哲学的探究としての作者の作品についてのエッセイを寄稿。インタビューに加え、作者による詩、集めたオブジェクトのコレクションについてのシュールレアリスティックなショートストーリーも収録している。オブジェクトのコレクションとインデックス・カードは、アメリカ人写真家であるブルース・M・ホワイト(Bruce M. White)が精巧に撮影し、本書を豪華な図版に仕上げている。
For Richard Tuttle (b. 1941), the object, and the work, is intended for communication. Where others find in history answers to the questions objects pose, Tuttle, instead, finds the questions that drive his art—asking us to think about what objects mean, and how. Richard Tuttle: What Is the Object? is the first publication to explore the influential American artist’s object collection and the cards on which he has recorded his thoughts about these items over the past five decades.
This volume, designed by the Belgian book artist Luc Derycke as a “book as object,” carries forth the challenging question of the meaning of objects. It includes an interview with Tuttle, an analysis of objects in poetic nonfiction by Renee Gladman, an essay about Tuttle’s art as the pursuit of a kind of philosophical exploration by Peter N. Miller, as well as poems by Tuttle and a short, surrealist tale about the artist’s objects. Tuttle’s objects and index cards are beautifully photographed throughout by Bruce M. White in this lavishly illustrated volume.