イタリア人アーティストでありデザイン界の巨匠、エンツォ・マーリ（Enzo Mari）の作品集。自分で作ることのできる家具デザインが収録されている。

イタリア語の単語「autoprogettazione」の意味を訳するのは難しい。直訳するならば、auto はセルフ、progettazione はデザインだが、デザインと聞くと大抵の人は表面的な装飾品を思い浮かべるので、「セルフデザイン」といってしまうと誤解を招く可能性がある。作者は、この言葉を「プロジェクトの背後にある誠意をもっとよく理解するために、1人1人が自分で行うべき行為」という意味を込めて使っていた。この行為を可能にするために、この本では非常にシンプルかつ典型的な技術を順を追って解説している。本書をもって完成した家具は、実際の使用に耐えるものだとしても、その重要性は教育的価値だけにあるといえる。このプロジェクトは、木材と釘だけで簡単に組み立てられる家具を作るためのものであり、自分が作っているものに対し批判的な目で見ることを教えてくれる初歩的なテクニックでもある。そして、大量消費という資本主義のパラダイムに対する挑発的な提案でもあり、必要な時に必要なだけ自分で家具を作るというアイデアが込められていた。ミラノのガレリアで開催された展覧会に伴い、デュシャン・センターによる編纂で1974年に初版が刊行されている。

It is not easy to translate into English the Italian word autoprogettazione. Literally it means auto = self and progettazione = design. But the term ‘self-design’ is misleading since the word ‘design’ to the general public now signifies a series of superficially decorative objects.
By the word autoprogettazione Enzo Mari means an exercise to be carried out individually to improve one’s personal understanding of the sincerity behind the project. To make this possible you are guided through an archetypal and very simple technique.

Therefore the end product, although usable, is only important because of its educational value. A project for making easy-to-assemble furniture using rough boards and nails. An elementary technique to teach anyone to look at present production with a critical eye. The first edition of the book was compiled by the Duchamp Centre and printe for the exhibition at the Galleria Milano in 1974.