ロンドンを拠点に活動する現代アーティスト、ライアン・ガンダー（Ryan Gander）の作品集。イギリスのコンセプチュアル・アーティストである作者の多様な空間への介入について、ロックダウン中に開催された展示をまとめた一冊。

作者の学際的な活動領域は、彫刻からインスタレーション、映像作品やパフォーマンスにまで及ぶ。その作品は深遠なるものと日常を並び立たせ、まるで概念のパズルのように鑑賞者たちの手によって結び合わされる秘密の鍵を作り出している。

溶けた雪だるまがそこにあったことをどうして知れるだろう？それとも、ただの噂だったのだろうか？この質問は、2020年という、作者本人が渡航できなかった時期にニューヨークの「リッソンギャラリー（Lisson Gallery）」で開催された作者の展覧会の際に問われたものである。また、「プリンストン大学（Princeton）」にて予定されていた別の展覧会の際には、作品は作者のスタジオで展示され、鑑賞はバーチャルで行われ、「見る」と「在る」の間あるいはそれを越えた空間を構成することとなった。

本書には作品に加え、展示物を目にすることができた数少ない一人である「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館（Solomon R. Guggenheim Museum）」のキュレーター、キャサリン・ブリンソン（Katherine Brinson）による作者の作品の研究を収録。「スカルプチャーセンター (SculptureCenter) 」のディレクター、キュレーターであるソフラブ・モヘビ（Sohrab Mohebbi）による作者と他のアート作品を取り巻く神話的概念と逸話についてのインタビュー、「リッソンギャラリー」のコンテンツ・ディレクターのオシアン・ワード（Ossian Ward）による作者の活動全体に亘る躍動的な時間の流れを記した図表も掲載する。

デジタルな情報のトーテムという形で展示に置かれた作者のテキスト、「Staccato Refractions」が本書内に散りばめられ、イメージや色、テキストのパッセージがデザイナーのデイビッド・レインフルト（David Reinfurt）によってレイアウトされた一冊となっている。

How do we know if a melted snowman ever existed? Was it a rumour? These questions are referenced when considering a recent show by Ryan Gander in New York at Lisson Gallery in 2020 – staged at a time when the artist himself couldn’t travel to be there in person.

Another exhibition planned for Princeton had to be mounted in his own studio and experienced virtually, similarly constituting a space beyond or in-between seeing and being.

Curator Katharine Brinson, of the Guggenheim, offers a close reading of Gander’s work, being one of the chosen few to have managed to see the exhibition.

Sohrab Mohebbi interviews Gander on the myths and anecdotes that surround his and other works of art, while Ossian Ward charts the elastic passing of time across the entire practice.

A text by Gander that featured in the exhibition in the form of a digital info-totem, entitled Staccato Refractions, runs throughout the book, with other passages of image, colour and text marshalled into place by the designer David Reinfurt.