オーストリアの建築家コレクティブ「ハウス・ラッカー・コー（Haus-Rucker-Co）」の作品集。戦後オーストリアの前衛芸術に欠かせない存在だった「ハウス・ラッカー・コー」は、建築家のラウリド・オルトナー（Laurids Ortner）とギュンター・ザンプ・ケルプ（Günther Zamp Kelp）、アーティストのクラウス・ピンター（Klaus Pinter）によって1967年にウィーンで結成され、1970年にマンフレッド・オルトナー（Manfred Ortner）が参加した。

1970年代から80年代にかけて特に重点的に活動し、芸術と建築の境界線における身体や感覚空間、認識空間の意識の拡大を基軸に据え、彫刻作品や公共空間でのインスタレーション、パフォーマンスなど数多くのプロジェクトを発表した。殊に空気圧装置を使ったインスタレーションは、参加者が操作することを可能とし、空間の知覚を作品として探究し表現していた。

「ユートピア建築」を探求し、建築家グループ「アント・ファーム（Ant Farm）」、「アーキズーム（Archizoom）」、建築家ドローイング集団「スーパースタジオ（Superstudio）」、建築事務所「コープ・ヒンメルブラウ（COOP HIMMELBLAU）」など、1960年代に活躍した建築家、アーティスト・グループと近い領域にいた。

本書は、「ハウス・ラッカー・コー」の主要作品をまとめた初のコンピレーション作品集であり、多様な作品を概観することができる一冊である。1つの本としてまとめられていながら、一方は横開き、もう一方は縦開きになっており、まるで2冊で構成されているような作りに仕上げられている。この二方向からアクセスできる装丁は、このグループのプロジェクトを最も理想的に表現し、鑑賞者に空間的な体験をもたらすものである。

An integral part of the Austrian postwar avant-garde, Haus-Rucker-Co was a Viennese art group founded in 1967 by Laurids Ortner, Günther Zamp Kelp and Klaus Pinter. Many of their works were at the intersection of art and architecture, with their installations involving pneumatic devices, often controlled by the participants, to explore perceptions of space. Their exploration of utopian architecture put them in a similar realm with other 1960s artist groups including Ant Farm, Archizoom, Superstudio and Coop Himmelblau. Atemzonen is the first compilation of the major parts of Haus-Rucker-Co's work, providing an overview of the group's diverse oeuvre. While sharing the same binding, one part of the book opens horizontally while the other opens vertically. These two different orientations provide the most ideal representation of the group's projects, while simultaneously creating a spatial experience for the viewer.