アメリカ人アーティスト、クリストファー・カルバー（Christopher Culver）の作品集。本書は作者にとって初のモノグラフであり、2020年から2024年にかけて描かれた、衰退していく周囲の姿を描いたものである。国内産業の空洞化による余波の真っ只中に置かれたアメリカでの生活を年を追うように描くことで、歴史的なある特定の瞬間を作品で示している。空っぽの映画館や荒れ果てた街並みを抜けていくと、我々は動物、天使、そして亡霊のような存在と遭遇する。この人物たちは、詩人ダンテ・アリギエーリ（Dante Alighieri）の代表作『神曲（Divine Comedy）』におけるウェルギリウス（Virgil）と似た役割を果たし、この空白の期間へと我々を誘うこともあるだろう。かと思えば、重々しく澱んだものの象徴として立ちはだかることもある。しかし、この錆びついた世界は、取り返しがつかないほどに砕けてしまったわけではない。瓦礫を通して優しさが滲み出ている。

Christopher Culver’s first monograph, Unhome, includes drawings from 2020 to 2024 that depict waning environments. The works index a specific historical moment, chronicling American life amidst the aftershocks of deindustrialization. As we traverse empty movie theaters and abandoned cityscapes, we encounter animals, angels, and apparitions. These figures sometimes play a role akin to that of Virgil in Dante’s Divine Comedy and guide us through the interregnum. Other times, they stand as solemn totems of stagnation. This rusted world, however, is not irreparably fallen. Tenderness filters through the debris.