MORE MINING RIGS by Gardar Eide Einarsson
ノルウェー人アーティスト、ガーダー・アイダ・アイナーソン(Gardar Eide Einarsson)の作品集。2024年11月に「東京都現代美術館」で開催された「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」への出展に伴い制作された一冊。
本作は、京都のギャラリー「OSCAAR MOULIGNE」で2024年9月から11月まで開催された展覧会「“Ride of the Valkyries” Continues (「ワルキューレの騎行」は続く)」で初公開された作品である。作者は普段よりサブカルチャーの観念とそれをどのように環境にアクセスさせるかを探求しており、インスタレーションや絵画、彫刻などさまざまな媒体を用いて制作をしている。
ビットコインマイニング・リグ──機器を収めるスチール製フレームで、現在ではあまり用いられなくなった──を、ドナルド・ジャッドがノートに描きとめていたスケッチから取ったRALカラーチャート(ドイツ発の工業・商業用色見本)にもとづいて粉体塗装したレディメイド・スカルプチャーのインスタレーションも展示されます。同時に出品されるペインティングに比べると一転して瞑想的なアイナーソンの多色スカルプチャーは、ミニマリズムを形とコンセプトの両面で参照し、ジャッドを始めとするミニマリズムのアーティストたちが時代遅れの工業生産技術を利用していたことを踏まえています。当初はユートピア志向であった暗号通貨時代の背後に潜むイデオロギーを探究しつつアイナーソンの新作は、現代社会ではテクノロジーが極端なまでのスピードで古びていくという事実に注意を喚起し、さまざまな管理システムの現在が不確かであること、その基盤自体が揺らぎつつあることを、無言で仄めかしています。
- 展覧会情報より引用
Published in conjunction with the Tokyo Art Book Fair 2024.